第1章: 新学期の始まり

春の風が校庭に吹き抜ける。新しい学期が始まり、桜の花が校舎の前に満開に咲いている。今日からまた新しい一年が始まると思うと、心が少し浮き立つ。でも、それ以上に不安な気持ちが胸に広がっていた。特に、今年のクラスメートがどうなるのかということが気になって仕方がなかった。

私は田中美咲、16歳の高校2年生。普通の女の子だと思っているけれど、実はひとつだけ悩みがあった。それは、クラスであまり目立たないタイプの私が、毎年のように「隣の席の人に恋してしまう」ということだった。

過去の一年間も、何度か好きになった相手はいたけれど、すぐに気持ちが冷めたり、相手が気づいてくれなかったり。でも、今年こそは! と思っていた。新しい席替えの後、隣の席の人にどんな人物が来るのか、すごく楽しみだった。

「田中さん、席が決まったよ。」

先生の声が響き、私は自分の名前を呼ばれるのを待った。

「田中美咲さん、隣は……」

ドキドキと胸が高鳴る。席替えの発表が始まり、いよいよ私の番だ。

「隣は……高橋蓮くん。」

その瞬間、心臓が一瞬止まったように感じた。高橋蓮。クラスの中でもちょっと不思議な存在の彼。成績は良いけれど、誰とも大して話さない。いつも静かに一人で過ごしているけれど、なぜか、彼のことを気になっていた。

高橋蓮くんの名前が聞こえた途端、私は自分が少し慌てていることに気づいた。でも、どうして彼が私の隣に……?