Devilの教え

 向けた目線の丁度先に、シャープな(あご)のラインがあって、そこをなぞって下に視線を滑らせると、白い首に形のいい喉仏が存在する。


「『何?』って……?」

 問われた内容を理解出来ず聞き返したあたしの目は、悪魔の首元に釘付けだった。


「さっき何か言い掛けたろ?」

「え?」

「言い掛けたろ?」

「あ……うん。あの……その……」

 特別話したい事があった訳じゃなく、勝手に言葉が口から出たって感じだっただけに、改めて聞かれても何を言えばいいのか分からず、


「ひ、酷い事ってどんな事すんの?」

 とりあえず何かを言わなきゃと思って口から出たのは、本気で聞きたい訳でもない質問だった。


 一瞬驚いたように目を見開いた悪魔は、それでもすぐに口許に笑みを戻し、あたしを見据えながらその場にしゃがみ込む。