Devilの教え

「すぐ来る、すぐ来る」

「来るって誰がですか?」

「来てのお楽しみ」

「お楽しみってか、普通にここ気味悪いんですけど」

 あたしの言葉に「ぎゃはは」と笑ったスガ先輩の声が、向こうにあるコンクリートの建物に反響する。


 山彦のように戻ってきた声が夜の闇に吸い込まれていく(さま)は、不気味という以外の言葉が見つからなかった。


 どれくらいそこにいただろう。


 見上げた夜空は月がなく、風が轟々(ごうごう)と音を立てていた。


 寒さにコートの襟を合わせ、「帰りたい」とスガ先輩に言おうとしたその時。


「おっ、来た来た」

 スガ先輩はあたしの背後――ずっと向こう――に視線を送り目を細めた。