Devilの教え

 本当ならここで心配してくれる予定だった。


 いくらアスマが悪魔だとしても、あたしのこの姿を――明らかに殴られましたって(あと)がある顔とか手を見たあと、親と喧嘩したって言ったら「何で?」くらいは聞いてくれると思ってた。


—―のに。


「わざわざご苦労」

 アスマはあたしの手からお金を奪うと、話なんて聞くつもりはないって顔でポケットに仕舞う。


「…………」

「何だよ?」

 反応の意外さにポカンと見上げるあたしに、アスマは面倒臭そうな声を出して、


「…………」

「俺、疲れてっから帰んぞ」

 腫れ上がってジンジンしてる頬も心配してくれない。