Devilの教え

「『巣穴』ってバカにした言い方?」

 更に深く質問すると、アスマはその目を見開いた。


「あー、(ちげ)え。そういうんじゃなくてだな……」

 何故か困ったような声を出し、アスマは一旦視線を足元に落とすと、「どう言やいいのか……」と小さく呟き、俯いたまま目線だけをあたしに向けた。


 上目遣いになったアスマのその姿にまた色気を感じる。


 長い前髪の隙間から覗く漆黒の瞳が妖しげに揺れた。


「あそこは地元の奴らが集まってんだろ」

「うん」

「お前、スガと話す時、敬語は敬語でも(ゆる)い敬語使ってるだろ」

「ゆるい?」

「ああ。ちゃんとした敬語じゃねえだろ。つーか、ずっと敬語でもねえし」

「うん」