Devilの教え

 戻された瞳には魔力のような、不気味な色気を纏っていた。


「優しくしようがしまいが起こった事柄は変わらねえだろ」

「けど相手の気持ちが」

「相手の気持ちが楽になろうが何だろうが、俺には関係ねえ」

「で、でも」

「結局、『優しく』だとか『親切』だとかはしてやる側に選択権がある訳で、それをするかしないかは、自分のとっての利益の問題だろ。俺はあの女に優しくしたところで、何の利益も満足感もない」

「誰もそんな風に利益とか考えて優しくなんてしないよ!」

「でも利益のない『優しさ』だの『親切』だのは誰もしねえじゃねえか」

「へ?」

「意味のない『優しさ』なんて誰もしねえだろ」

「意味のない優しさ?」

「募金にしたって、誰かを助けてるって思うからするだけで、誰の助けにもなってねえならしねえだろうが」