仕方がないから一端、いちかの所に戻って足を止めれば。住宅街の外灯がチカチカと点いたり消えたりしているのが視界に入った。


「どうしたんだよ?」


「スマホのさぁ」

「は?」

「エロゲーで選んでた子もあんな感じだったね」

「よ、よく見てたな」

そこまで見られていたのかという思いと、何で今この話題を出すのか意味が分からなくて。俺からは訳の分からない苦笑いが漏れた。


「私、何もわかりませーん、みたいな」

「は?」

「何も考えて無さそうな子で」

いちかの言葉に棘があるものだから。


「男はなー、ああいう子がいいんだよ!優しくて、穏やかで、癒される、めっちゃ可愛い子とかが!」

つい俺の口調も嫌味くさくなってしまうのは、仕方のない事だと思う。