「お前さー、変な事言わないで貰える?」
小柳さんと友達の子と別れて、2人の背中を見送って、そう口にすれば大きなため息が漏れた。
「えー?変な事って何ですかー?」
「"彼女です"とか」
「琉って彼女いるの?」
「い、いないけど……今は」
「じゃぁ、別に問題ないじゃん」
「良くねぇよ!あることないこと面白おかしくすぐネタにされて広まるんだから……って、あー、もう」
ここでいちかと言い合ったところで時間の無駄だと判断した俺は、
「もー帰るぞ」
いちかの頭を手の平で軽く叩いてから、自宅に向かって足を踏み出した。
「なにやってんだよ、帰んないのかよ?」
なのに、いちかがその場に立ち尽くして歩き出そうとしない。



