「良かったな、今日兄ちゃん帰ってきて」 「え?……あー、うん。なん……」 「明日、帰るんだろ?」 いちかが何かを言いかけたのは分かったけど、遮る様に質問を投げかけた。 「……うん」 「あー、清々するわ」 「ふん、寂しいくせに!」 こんなにすぐ傍にいる筈なのにいちかとの距離は遠く感じて、俺の家の近くまできたところで―― 「あれー?村上くん?」 聞き覚えのある女の子の声が耳に入った。