「すっごく、怒られたよねー」

隣を歩くいちかは鼻を真っ赤にさせてクスクスと笑みを浮かべる。


「そうそう。俺なんかいちかの父ちゃんに殴られたもん」

「私が連れ出したのにねー」

「大事ないちかになんて事してくれたんだー!ってさ」

「ごめん、ごめん!」

「ひっでーよな!」

「あははは!!」

静かな住宅街にいちかと俺の笑い声が響き渡る。



笑い声が段々と小さくなって途切れた時に、ふと いちかと視線が合った。


そうだ、

あの後からだ──。



いちかの俺に対する態度が変わったのは。


その次の年からコイツは兄ちゃんにベッタリになって、俺と遊ばなくなったんだ。