コンビニには歩いてすぐに着いた。

いちかは"ブラウニーもいいけどティラミスも魅力的だよねー"なんて、目移りしながらもご機嫌にデザートを選んで。結局、両方買って、俺はエクレアを買わされる事になる。


「ふーん。そこも凄い光ってるね!!あれは何屋さん?」

コンビニを出たところで、いちかが立ち止まって隣の建物に顔を向けた。
その5階だての建物は、外観全体が色々な色に点滅するタイプのランプで飾られていて、派手な位にキラキラと光っているもので。



「あー……。そこラブホだからな」

「は、はぁぁあ?」

「ラブホだからな」

「2回も言わなくていいし!コンビニの横にってどんな神経してるのよ!」

「別に俺のせいじゃねぇし」

「あ、ありえないっ!!!」

声をどもらせて慌てる いちかの姿は少し見物で、面白くて、つい口元が緩んでしまう。


「まぁ、お前んちの方は林の中とか、車で行くタイプが多いからなー」

「わーわー!なんて事を!!」

「いちか真っ赤だし!」

「くっそー、琉のくせに田舎を馬鹿にしやがって!!」

なんて茹でダコの様に唇を尖らせる姿が、いちかなのに少しだけ可愛く見えた。