「いちか、琉。おかえり」
昼過ぎに通った道を歩いて家に帰ると、玄関には男物の靴が置かれていて。
「ユウ兄!!」
「兄ちゃん……」
「いちかが帰ってきてるって聞いて、俺も帰ってきちゃった」
なんて兄ちゃんが笑い声がリビングに響いた。
「今日はお鍋だからねー」
なんて母ちゃんがご機嫌そうにキッチンから顔をだして、言葉を続ける。
「琉、いちかちゃん。手ぇ洗ってらっしゃーい!」
「やったーお鍋だ!」
いちかのはしゃぎ声が隣から耳に入ってくる。
俺だって鍋は好きだよ、好きだけど。
「琉、なんか着替えかして!なんか汚れてもいーやつ」
「あ、あぁ……」
なんで、このタイミングで……。そう思わずにはいられなかった。



