「危ないだろ?」
「だって!」
「生意気ばっか言ってると簡単に連れ込まれるからな」
「あんな人がいっぱいなとこで連れてかれるわけ……」
「周りの奴等なんてお前困ってても知らん顔してただろ?」
「……っ、」
「お前みたいのはさぁ、見るからに地元っぽくねぇから狙われやすいんだよ」
「な、何よ。地元っぽくないって何?」
なんて口にする いちかの声が震えて、下を向いてしまう。
「な、慣れてないってことだよ」
「田舎くさいっていいたいの?」
今まで強気だった口調が、突然弱々しいものに変わるものだから。
「そ、そういう意味じゃねぇ……よ」
驚いて戸惑いを隠せなくて。
「ち、小さい女の子だから気を付けろって……」
俺自身、何を言っているのか分からなくなって恥ずかしくなってくる。
「お、お前を心配して、だな……その」
「じゃぁ、慣れてなくて危なっかしい小さい女の子と手でも繋いでよ!」
勢いよく上げられた いちかの目元はニヤけていて、からかわれたんだと分かった。
泣かれたわけじゃなくて、ホッと肩を撫で下ろしたけど。



