一通り、館内を見終わって出口の手前にあるお土産コーナーにたどり着けば
「お土産買わなきゃなー!」
いちかは小走りになってショップへと近付いていった。
「あ、おばさん逹に?」
「うん。あ、これかわいー」
いちか が手に取ったのは、ぶっさいくなペンギンの大きなぬいぐるみ。ペンギンの両目は離れていてしまりの無い口元にお腹が出ているという不格好な姿をしている。
明らかにセンス無いだろ?
「……やめとけよ」
「えー何で?」
「無難にお菓子でいいんじゃね?」
「えーこれ可愛いじゃん」
「ダサくね?」
「それが可愛いじゃん!ダサ可愛で!!」
こんなペンギンが可愛いなんて、いちかの"可愛い"の基準が全く分からねぇ。
「絶対、これにしよーっと!」
なんて、いちかは子供の様に目を輝かせてぬいぐるみを両手で抱えていた。



