「杏!?ダンスは?まだ終わってねーだろ?」 ダン兄の言葉を無視して、あたしはダン兄に抱きついた。 「…高校最後のダンスは、世界で一番大好きな人と踊りたいの。アタシと踊ってくれる?」 上目ずかいでダン兄を見上げたアタシ。 こんなガラにもないことしちゃったのは、この雰囲気と、ドレスが、今日だけシンデレラにでもなった気分を味あわせてくれるから。 びっくりしていたダン兄の顔が、照れた顔に変わる。