洗濯を終えた私は、次に夕飯を作る為にキッチンに入った。
ここに来たばかりの頃は、美味しくない祖国の料理しか作れなかったものだが。
最近では、すっかり上手くなった。
ルヴィアさんは何を作っても美味しいと食べてくれるので、作り甲斐がある。
今夜はあれを作って、それからこれを作って…と、今夜の献立に思いを巡らせた。
大好きな人の為に食事を作るのは、ちっとも苦ではない。
今から作れば、ルヴィアさんが帰ってくる頃には出来立てで食べられるだろう。
私はそう思って、キッチンに立ち、調理道具を出そうとした。
そのとき。
「…?」
ダイニングテーブルの上に置きっぱなしにしていた携帯が鳴り始めた。
ルヴィアさんからの電話だった。
「はい…?ルヴィアさん?」
『あっ、フューニャ…。ごめん。夕飯、もう作ってたか?』
「いえ…今からですけど」
これは、もしかして。
『そうか、それなら良かった…。悪いんだが、今日は帰れそうにないんだ』
ルヴィアさんは、心底申し訳なさそうに言った。
「…そうなんですか」
『済まん。急に…ちょっと、揉め事が起きてな。今日と…それから多分明日も、帰れないと思う』
「!」
…今日だけじゃなく、明日も?
一体、何が起きたと言うのか。
『ごめんな、フューニャ…』
ルヴィアさんの申し訳なさそうなことと言ったら、こちらが気の毒になるほどだった。
かく言う私も、落胆を抑えるのに必死だった。
「…明後日は、帰ってこれるんですか?」
『そのつもりではいるけど…。分からない』
「…」
ルヴィアさんは『青薔薇連合会』の準幹部。その彼が、何日も家に帰れないほどの一大事。
…きっと、何か良くないことが起きたのだ。
「…大丈夫なんですか?何か…危険なことがあったんじゃ」
『心配するな、フューニャ。大丈夫だから』
大丈夫と言われても…ちっとも安心出来なかった。
ルヴィアさんは、電話を早く終わらせようと急いているようだった。それだけ忙しいのだ。
そんな中で、私にちゃんと連絡を入れてくれた。
だったら、私が我が儘を言うことは出来ない。
「…分かりました。気を付けてくださいね」
『あぁ…。フューニャもな』
私も?
『本当にごめん。この埋め合わせは必ずするから。…それじゃ』
「…はい…」
それで通話は切れた。
…ルヴィアさん、今日…今日も明日も、帰ってこないんだ。
「…」
私は、出したばかりの調理道具を棚に戻した。
ルヴィアさんが帰ってこないなら、料理なんてやる気にはなれない。
自分一人だけの為に料理をすると思ったら、途端に酷く億劫になった。
…面倒だから、トーストを齧るだけで良いや。
ルヴィアさんは、私をまめで完璧主義な人間だと思っているようだが。
それは、ルヴィアさんの為だからそう出来るだけのことで。
彼の為でないのなら、自分の為には何もする気になれないのだ。
それよりも私は、ルヴィアさんのことが心配だった。
…嫌な予感がする。
窓の外の、今にも雨が降りそうな曇天を見つめながら。
どうかこの予感が外れて欲しいと、私は祈った。
ここに来たばかりの頃は、美味しくない祖国の料理しか作れなかったものだが。
最近では、すっかり上手くなった。
ルヴィアさんは何を作っても美味しいと食べてくれるので、作り甲斐がある。
今夜はあれを作って、それからこれを作って…と、今夜の献立に思いを巡らせた。
大好きな人の為に食事を作るのは、ちっとも苦ではない。
今から作れば、ルヴィアさんが帰ってくる頃には出来立てで食べられるだろう。
私はそう思って、キッチンに立ち、調理道具を出そうとした。
そのとき。
「…?」
ダイニングテーブルの上に置きっぱなしにしていた携帯が鳴り始めた。
ルヴィアさんからの電話だった。
「はい…?ルヴィアさん?」
『あっ、フューニャ…。ごめん。夕飯、もう作ってたか?』
「いえ…今からですけど」
これは、もしかして。
『そうか、それなら良かった…。悪いんだが、今日は帰れそうにないんだ』
ルヴィアさんは、心底申し訳なさそうに言った。
「…そうなんですか」
『済まん。急に…ちょっと、揉め事が起きてな。今日と…それから多分明日も、帰れないと思う』
「!」
…今日だけじゃなく、明日も?
一体、何が起きたと言うのか。
『ごめんな、フューニャ…』
ルヴィアさんの申し訳なさそうなことと言ったら、こちらが気の毒になるほどだった。
かく言う私も、落胆を抑えるのに必死だった。
「…明後日は、帰ってこれるんですか?」
『そのつもりではいるけど…。分からない』
「…」
ルヴィアさんは『青薔薇連合会』の準幹部。その彼が、何日も家に帰れないほどの一大事。
…きっと、何か良くないことが起きたのだ。
「…大丈夫なんですか?何か…危険なことがあったんじゃ」
『心配するな、フューニャ。大丈夫だから』
大丈夫と言われても…ちっとも安心出来なかった。
ルヴィアさんは、電話を早く終わらせようと急いているようだった。それだけ忙しいのだ。
そんな中で、私にちゃんと連絡を入れてくれた。
だったら、私が我が儘を言うことは出来ない。
「…分かりました。気を付けてくださいね」
『あぁ…。フューニャもな』
私も?
『本当にごめん。この埋め合わせは必ずするから。…それじゃ』
「…はい…」
それで通話は切れた。
…ルヴィアさん、今日…今日も明日も、帰ってこないんだ。
「…」
私は、出したばかりの調理道具を棚に戻した。
ルヴィアさんが帰ってこないなら、料理なんてやる気にはなれない。
自分一人だけの為に料理をすると思ったら、途端に酷く億劫になった。
…面倒だから、トーストを齧るだけで良いや。
ルヴィアさんは、私をまめで完璧主義な人間だと思っているようだが。
それは、ルヴィアさんの為だからそう出来るだけのことで。
彼の為でないのなら、自分の為には何もする気になれないのだ。
それよりも私は、ルヴィアさんのことが心配だった。
…嫌な予感がする。
窓の外の、今にも雨が降りそうな曇天を見つめながら。
どうかこの予感が外れて欲しいと、私は祈った。


