僕は信用しなかった。
ルニキスさんが裏切るなんて、僕らを見捨てて行くなんて、あの人はそんなことはしない。
いつも誰よりも前に出て、僕達を下がらせ、どんな怖い敵も一人で相手にしていたルニキスさん。
自分の怪我には無頓着なのに、僕らが怪我をしたら真っ先に手当てをしてくれた。
野菜嫌いな僕らの為に、美味しい野菜料理を作って食べさせてくれた。
あんなに忙しかったのに、時間を見つけては僕らに読み書きや計算を教えてくれた。
あの優しいルニキスさんが、僕達を裏切るなんて信じられない。
きっとルニキスさんが『セント・ニュクス』を出ていったのは、他に理由があるんだ。
僕はそう思っていた。
でも…その噂が本当なら。
本当に、ルニキスさんが『青薔薇連合会』にいるなら。
ルニキスさんは僕達を裏切って、『青薔薇連合会』についたんだ。
そんなことする人じゃないと思っていたのに…。
ショックを受けていた僕に、仲間の彼は慌てて首を振った。
「違うよ、まだ続きがあるんだ。これは証拠がある訳じゃないんだけど…もう一つ噂があって」
「?何…?」
もう一つの噂?
彼はしきりに辺りを見渡して、聞き耳を立てている人間がいないことを確認した。
そして、更に声を低くしてこう言った。
「…ルニキスさんは裏切ったんじゃなくて、裏切られたんじゃないかって」
「え…?」
…裏切られた?
ルニキスさんが裏切ったんじゃなくて、ルニキスさんが裏切られた?
「それ、どういうこと?」
「あくまで噂ではあるけど…。ルニキスさんは、誰かに嵌められて『セント・ニュクス』を追放されたんじゃないかって」
「誰かって…誰だよ」
「…決まってるだろ?」
…その通り。決まってる。
あの人を裏切ることが出来るのは…同じ『セント・ニュクス』のリーダーだった、グリーシュさんだけだ。
そして、今のグリーシュさんならやりかねない。
やりかねない人だ。
もしそうなのだとしたら…ルニキスさんがいなくなったのも納得出来る。
しかし。
「でも…あの二人って、仲良かったんじゃないのか?」
二人は親友同士だと聞いていた。親友同士で裏切りなんて…そんなことがあるだろうか?
少なくとも、ルニキスさんがグリーシュさんに恨みを買うようなことをしたとは思えない。
逆ならまだしも…。
「昔は仲良かったみたいだけど、ルニキスさんが出ていく少し前からは、ずっと喧嘩ばっかりしてたじゃん。それに…あの頃からグリーシュさん、『彼ら』とも付き合い始めてたみたいだし…」
「…」
そう。グリーシュさんは、「彼ら」に会ってから、段々おかしくなっていた。
ルニキスさんは、そのことを知っていたのだろうか。
「『彼ら』と会ってるってことがばれたら、ルニキスさんに反対されると思って…ルニキスさんを騙して追い出したんじゃないかって、噂になってるんだよ。本当かどうかは分からないけどね」
「…そうなんだ」
僕はその噂を、本当のことだと思った。
根拠がある訳じゃない。ただの噂だって分かってる。
でも、多分それが真実なのだ。
ルニキスさんは、僕達を裏切ったりしない。
だから、裏切ったのは…グリーシュさんの方。
だとしたら…僕は、このまま『セント・ニュクス』で、ルニキスさんを裏切ったグリーシュさんに殴られながら、彼の言うことを聞いていて良いのだろうか?
ルニキスさんが裏切るなんて、僕らを見捨てて行くなんて、あの人はそんなことはしない。
いつも誰よりも前に出て、僕達を下がらせ、どんな怖い敵も一人で相手にしていたルニキスさん。
自分の怪我には無頓着なのに、僕らが怪我をしたら真っ先に手当てをしてくれた。
野菜嫌いな僕らの為に、美味しい野菜料理を作って食べさせてくれた。
あんなに忙しかったのに、時間を見つけては僕らに読み書きや計算を教えてくれた。
あの優しいルニキスさんが、僕達を裏切るなんて信じられない。
きっとルニキスさんが『セント・ニュクス』を出ていったのは、他に理由があるんだ。
僕はそう思っていた。
でも…その噂が本当なら。
本当に、ルニキスさんが『青薔薇連合会』にいるなら。
ルニキスさんは僕達を裏切って、『青薔薇連合会』についたんだ。
そんなことする人じゃないと思っていたのに…。
ショックを受けていた僕に、仲間の彼は慌てて首を振った。
「違うよ、まだ続きがあるんだ。これは証拠がある訳じゃないんだけど…もう一つ噂があって」
「?何…?」
もう一つの噂?
彼はしきりに辺りを見渡して、聞き耳を立てている人間がいないことを確認した。
そして、更に声を低くしてこう言った。
「…ルニキスさんは裏切ったんじゃなくて、裏切られたんじゃないかって」
「え…?」
…裏切られた?
ルニキスさんが裏切ったんじゃなくて、ルニキスさんが裏切られた?
「それ、どういうこと?」
「あくまで噂ではあるけど…。ルニキスさんは、誰かに嵌められて『セント・ニュクス』を追放されたんじゃないかって」
「誰かって…誰だよ」
「…決まってるだろ?」
…その通り。決まってる。
あの人を裏切ることが出来るのは…同じ『セント・ニュクス』のリーダーだった、グリーシュさんだけだ。
そして、今のグリーシュさんならやりかねない。
やりかねない人だ。
もしそうなのだとしたら…ルニキスさんがいなくなったのも納得出来る。
しかし。
「でも…あの二人って、仲良かったんじゃないのか?」
二人は親友同士だと聞いていた。親友同士で裏切りなんて…そんなことがあるだろうか?
少なくとも、ルニキスさんがグリーシュさんに恨みを買うようなことをしたとは思えない。
逆ならまだしも…。
「昔は仲良かったみたいだけど、ルニキスさんが出ていく少し前からは、ずっと喧嘩ばっかりしてたじゃん。それに…あの頃からグリーシュさん、『彼ら』とも付き合い始めてたみたいだし…」
「…」
そう。グリーシュさんは、「彼ら」に会ってから、段々おかしくなっていた。
ルニキスさんは、そのことを知っていたのだろうか。
「『彼ら』と会ってるってことがばれたら、ルニキスさんに反対されると思って…ルニキスさんを騙して追い出したんじゃないかって、噂になってるんだよ。本当かどうかは分からないけどね」
「…そうなんだ」
僕はその噂を、本当のことだと思った。
根拠がある訳じゃない。ただの噂だって分かってる。
でも、多分それが真実なのだ。
ルニキスさんは、僕達を裏切ったりしない。
だから、裏切ったのは…グリーシュさんの方。
だとしたら…僕は、このまま『セント・ニュクス』で、ルニキスさんを裏切ったグリーシュさんに殴られながら、彼の言うことを聞いていて良いのだろうか?


