The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

俺達は初回の戦闘で、貯蔵していた化学兵器のほとんどを使ってしまった。

次の戦闘までに、また新たに造らなければならないのだ。

しかし、俺はそれほど焦ってはいなかった。

敵は俺達の拠点を血眼になって探しているが、「彼ら」が何重にも目眩ましをしてくれているお陰で、見つかる危険は低かった。

それよりも気になったのは、俺達の戦争に帝国騎士団が首を突っ込んできたことだった。

帝国騎士団は、完全に想定外だった。

何で帝国騎士団が口を挟んでくるのかと思った。悪の『青薔薇連合会』を倒してやろうとしているのだから、感謝こそされ、文句を言われる筋合いはないはずだ。

何かと思えば、帝国騎士団は、俺達が化学兵器を使用したことに対して文句をつけてきた。

国際法違反だ、と。

俺にとっては晴天の霹靂だった。

俺はそのときに至るまで、化学兵器の製造・使用が国際法で禁じられているとは知らなかったのだ。

そんなことは、「彼ら」も教えてはくれなかった。

帝国騎士団は俺達に対し、ただちに製造を中止するように言ってきた。

そして、『青薔薇連合会』との和解も取り持ってやる、と。

俺はそれらを全てはねつけた。帝国騎士団は部外者だ。俺達の戦争には何の関係もない。

口を挟まれる謂れはない。

国際法違反、と言われても全くピンと来なかった。

俺は国際法なんて知らないし、聞いたこともない。それはお偉い方が勝手に決めたことで、俺達には何の関係もない。

学校で立派な教育を受けた人達は、その国際法とやらが大事なのかもしれないが。

貧民街で、毎日生きるか死ぬかで暮らしてきた俺達には、法なんてあってないようなものなのだ。

どんな手段を使おうと、生き残ったが勝者。

国際法に違反したから、どうなるって?

俺達に失うものなどないのだ。

帝国騎士団が俺達の邪魔をすると言うのなら、『青薔薇連合会』の次は、帝国騎士団だ。

それだけのことだと思っていた。

とにかく俺は、初回の勝利に酔っていた。俺達なら出来る。勝てる。『青薔薇連合会』に成り代われる。

頭の中はそれだけだった。

『青薔薇連合会』は俺達の策の通りに動いていた。

ルティス帝国一のマフィアと言っても、意外に大したことないじゃないか。

俺はそう思って、優越感に浸っていた。

躍起になって俺達の居場所を探る『青薔薇連合会』を、俺は笑いながら高みの見物していた。

貧民街出身のこの俺が、お高くとまった奴らを手のひらの上で転がしているという事実に、満足していた。

俺はこのまま、右往左往する『青薔薇連合会』を眺めながら、次の戦闘で使う化学兵器が出来上がるのを待つ。

完成し次第、再度敵を攻める。

そしてまた、勝利の美酒に酔いしれる。

想像しただけで、笑いが止まらなくなった。

…はずだったのに。