ここで少し、振り返っておくが。
私、アイズレンシア・ルーレヴァンツァは、貧民街の貧しい家に生まれ、教育もまともに受けてこなかった。
ある年、貧民街に流行った病のせいで兄弟を失い。
それがきっかけで、両親は一家心中を図った。
しかし私は、実の親が兄弟達を殺しているところを見つけて、逆に親を殺し。
一人だけ、命からがら逃げ出した。
その後アシュトーリアさんに拾われて、『青薔薇連合会』の幹部になった訳だが…。
実は、一人だけ生きているか死んでいるか分からない兄弟がいた。
我が家が地獄絵図になるその前に、一人だけ逃げ出すことが出来た、幸運な兄。
私の…一番上の兄だ。
彼は、運良くとある貴族の使用人として雇われ、貧民街を出ていった。
その後我が家は一家心中して崩壊し、それ以降私は、兄がどうなったのか知らなかった。
生きているのか、死んでいるのか。
まだあの貴族の家で使われているのか、それとももう、別の仕事をしているのか。
調べようと思えば、調べられた。
でも、私は調べようとは思っていなかった。
マフィアの幹部になった私に、最早兄に会う資格などない。
兄弟が殺されるところを見ていながら、止めようともせず見殺しにし。
挙げ句、この手で自らの両親を殺したこの私が。
どの面下げて、兄に会えるだろう。
兄の安否など、一生分からなくて良い。一生会わなくても良い。
お互いに、その方が良い。
それに私は、今や貧民街の小さなアイズ・アズサルナじゃない。
ルティス帝国最大の非合法組織、『青薔薇連合会』の幹部にして次期首領、アイズレンシア・ルーレヴァンツァなのだ。
過去は捨てた。家族もいない。少なくとも血の繋がった家族は。
私はそう思っていたから、兄の行方を探そうとはしなかった。
しかし。
転機が訪れたのは…実は、『青薔薇解放戦線』と共に、箱庭帝国の革命を行っていた、あのときだ。
どういうことかと言うと…つまり。
一番上の兄、ルドウィカ・アズサルナが使用人として雇われていた貴族の家は。
ルアリスに協力していた…フランベルジュという貴族が当主を務める、ティターニア家だったのだ。
私達は『青薔薇解放戦線』に協力することを決めた後、ティターニア家の邸宅を訪ね、ルアリスと共に当主のフランベルジュと会談を行った。
実は、私はそのときに兄に再会したのだ。
顔を見て、お互いすぐに分かった。
あのときは、私は何も言わなかった。言いたいことは色々あったけど、あのとき優先すべきは『青薔薇解放戦線』の革命の件であって、私情を挟んでいる余裕なんてなかった。
だから私はあのとき、顔色一つ変えずに仕事を優先し、革命の話だけを進めた。
兄も兄で、マフィアと一緒にいる私を見て、私の今の立場を理解したのだろう。
彼も何も言わず、お互い、落ち着いてから会おうと決めたのだった。
私は会うかどうか迷っていた。だが…もう正体を知られてしまった以上、逃げることは出来なかった。
だからお互い連絡を取り合い、今日ここに、会いに来たのである。
私、アイズレンシア・ルーレヴァンツァは、貧民街の貧しい家に生まれ、教育もまともに受けてこなかった。
ある年、貧民街に流行った病のせいで兄弟を失い。
それがきっかけで、両親は一家心中を図った。
しかし私は、実の親が兄弟達を殺しているところを見つけて、逆に親を殺し。
一人だけ、命からがら逃げ出した。
その後アシュトーリアさんに拾われて、『青薔薇連合会』の幹部になった訳だが…。
実は、一人だけ生きているか死んでいるか分からない兄弟がいた。
我が家が地獄絵図になるその前に、一人だけ逃げ出すことが出来た、幸運な兄。
私の…一番上の兄だ。
彼は、運良くとある貴族の使用人として雇われ、貧民街を出ていった。
その後我が家は一家心中して崩壊し、それ以降私は、兄がどうなったのか知らなかった。
生きているのか、死んでいるのか。
まだあの貴族の家で使われているのか、それとももう、別の仕事をしているのか。
調べようと思えば、調べられた。
でも、私は調べようとは思っていなかった。
マフィアの幹部になった私に、最早兄に会う資格などない。
兄弟が殺されるところを見ていながら、止めようともせず見殺しにし。
挙げ句、この手で自らの両親を殺したこの私が。
どの面下げて、兄に会えるだろう。
兄の安否など、一生分からなくて良い。一生会わなくても良い。
お互いに、その方が良い。
それに私は、今や貧民街の小さなアイズ・アズサルナじゃない。
ルティス帝国最大の非合法組織、『青薔薇連合会』の幹部にして次期首領、アイズレンシア・ルーレヴァンツァなのだ。
過去は捨てた。家族もいない。少なくとも血の繋がった家族は。
私はそう思っていたから、兄の行方を探そうとはしなかった。
しかし。
転機が訪れたのは…実は、『青薔薇解放戦線』と共に、箱庭帝国の革命を行っていた、あのときだ。
どういうことかと言うと…つまり。
一番上の兄、ルドウィカ・アズサルナが使用人として雇われていた貴族の家は。
ルアリスに協力していた…フランベルジュという貴族が当主を務める、ティターニア家だったのだ。
私達は『青薔薇解放戦線』に協力することを決めた後、ティターニア家の邸宅を訪ね、ルアリスと共に当主のフランベルジュと会談を行った。
実は、私はそのときに兄に再会したのだ。
顔を見て、お互いすぐに分かった。
あのときは、私は何も言わなかった。言いたいことは色々あったけど、あのとき優先すべきは『青薔薇解放戦線』の革命の件であって、私情を挟んでいる余裕なんてなかった。
だから私はあのとき、顔色一つ変えずに仕事を優先し、革命の話だけを進めた。
兄も兄で、マフィアと一緒にいる私を見て、私の今の立場を理解したのだろう。
彼も何も言わず、お互い、落ち着いてから会おうと決めたのだった。
私は会うかどうか迷っていた。だが…もう正体を知られてしまった以上、逃げることは出来なかった。
だからお互い連絡を取り合い、今日ここに、会いに来たのである。


