あのときほど、驚いたことはない。
もう抗争は終わったのに、何故まだ銃を向ける必要がある?
しかも…どうして、仲間であるはずの俺に?
「グリーシュ…?」
俺は状況を理解出来なかった。
これが何を意味するのか、分かっていたのに、分かりたくなかった。
「これは…何なんだ?何の冗談だ…?」
「冗談なんかじゃない。もう組織は充分大きくなった。…だから、お前はもう必要ない」
必要ない…?
必要ないって、何だ。
「ずっとお前のことが邪魔で仕方なかったんだよ。いつか捨ててやろうと思ってた。でも、お前のその力だけは本物だったからな…。利用するだけ利用して、それから捨ててやろうと思ったんだよ。今が、そのときだ」
俺は耳を疑った。そんなはずはない、と思った。
グリーシュが…俺を利用していた?
邪魔で仕方なかった?
「そんな…。そんなの嘘だ。グリーシュ、俺達は仲間だろう。親友だって言ってくれたじゃないか!」
「あんなの信じてたのか?さすが、元貴族様は世間知らずだな…。貧民街じゃ、あの程度の社交辞令は常識だよ。お前を利用する為に言っただけだ。コロッと騙されやがって、本当馬鹿だな、お前。元貴族様って言っても、大したことねぇな」
「…!」
…社交辞令。
あれは全部、俺を騙して利用する為の社交辞令だったのか?
始めから…グリーシュは、俺を利用するつもりで。
「お前が大人しく俺の言うことに従うなら、もう少し飼ってやっても良かったんだがな…。飼い犬の癖に飼い主の俺に逆らってきて、面倒臭いから、お前はもう捨てることにする。『セント・ニュクス』にお前は必要ないんだよ」
「…グリーシュ…」
「俺達は『厭世の孤塔』の残党も併合した。これから、もっと力をつけて、今度は『青薔薇連合会』を叩く。俺達『セント・ニュクス』が、ルティス帝国裏社会の覇者になるんだ」
「…」
「じゃあな、ルリシヤ。ご苦労様。お前は本当…便利な駒だったよ」
…人を駒としか思ってないのは。
…お前じゃないか。グリーシュ。
『セント・ニュクス』のリーダーとしての、ルニキスという名前じゃない。
グリーシュは、俺をルリシヤと呼んだ。
俺はもう…ルニキスじゃない。
グリーシュの親友のルニキスじゃない。
グリーシュは、すっと片手を上げて部下に指示した。
俺を撃てと。
用済みの俺を殺せと。
グリーシュには、何の躊躇もなかった。
…そうか。
親友だと思っていたのは…俺だけだったんだな。
俺が…馬鹿だったんだ。
俺は一瞬迷った。このまま、部下に撃たれるままに死んでしまおうかと。
それで良いような気がした。兄に捨てられ、今度は親友だと思っていた人に捨てられるのだ。
もう二度と…こんな思いはしたくない。
死んだ方が良い。そう思った。
しかし。
部下が引き金を引く瞬間に、俺はその拳銃を蹴り飛ばし、後ろに跳ねた。
グリーシュは驚いたように目を見開いた。
俺が疲弊のあまり、もう動けないと思ったのだろうが。
人間、死の危険が迫れば、火事場の馬鹿力が出てくるものだ。
俺はそのまま逃げた。ただひたすらに夜の街を駆けた。
あいつらに…殺される訳にはいかなかった。
もう抗争は終わったのに、何故まだ銃を向ける必要がある?
しかも…どうして、仲間であるはずの俺に?
「グリーシュ…?」
俺は状況を理解出来なかった。
これが何を意味するのか、分かっていたのに、分かりたくなかった。
「これは…何なんだ?何の冗談だ…?」
「冗談なんかじゃない。もう組織は充分大きくなった。…だから、お前はもう必要ない」
必要ない…?
必要ないって、何だ。
「ずっとお前のことが邪魔で仕方なかったんだよ。いつか捨ててやろうと思ってた。でも、お前のその力だけは本物だったからな…。利用するだけ利用して、それから捨ててやろうと思ったんだよ。今が、そのときだ」
俺は耳を疑った。そんなはずはない、と思った。
グリーシュが…俺を利用していた?
邪魔で仕方なかった?
「そんな…。そんなの嘘だ。グリーシュ、俺達は仲間だろう。親友だって言ってくれたじゃないか!」
「あんなの信じてたのか?さすが、元貴族様は世間知らずだな…。貧民街じゃ、あの程度の社交辞令は常識だよ。お前を利用する為に言っただけだ。コロッと騙されやがって、本当馬鹿だな、お前。元貴族様って言っても、大したことねぇな」
「…!」
…社交辞令。
あれは全部、俺を騙して利用する為の社交辞令だったのか?
始めから…グリーシュは、俺を利用するつもりで。
「お前が大人しく俺の言うことに従うなら、もう少し飼ってやっても良かったんだがな…。飼い犬の癖に飼い主の俺に逆らってきて、面倒臭いから、お前はもう捨てることにする。『セント・ニュクス』にお前は必要ないんだよ」
「…グリーシュ…」
「俺達は『厭世の孤塔』の残党も併合した。これから、もっと力をつけて、今度は『青薔薇連合会』を叩く。俺達『セント・ニュクス』が、ルティス帝国裏社会の覇者になるんだ」
「…」
「じゃあな、ルリシヤ。ご苦労様。お前は本当…便利な駒だったよ」
…人を駒としか思ってないのは。
…お前じゃないか。グリーシュ。
『セント・ニュクス』のリーダーとしての、ルニキスという名前じゃない。
グリーシュは、俺をルリシヤと呼んだ。
俺はもう…ルニキスじゃない。
グリーシュの親友のルニキスじゃない。
グリーシュは、すっと片手を上げて部下に指示した。
俺を撃てと。
用済みの俺を殺せと。
グリーシュには、何の躊躇もなかった。
…そうか。
親友だと思っていたのは…俺だけだったんだな。
俺が…馬鹿だったんだ。
俺は一瞬迷った。このまま、部下に撃たれるままに死んでしまおうかと。
それで良いような気がした。兄に捨てられ、今度は親友だと思っていた人に捨てられるのだ。
もう二度と…こんな思いはしたくない。
死んだ方が良い。そう思った。
しかし。
部下が引き金を引く瞬間に、俺はその拳銃を蹴り飛ばし、後ろに跳ねた。
グリーシュは驚いたように目を見開いた。
俺が疲弊のあまり、もう動けないと思ったのだろうが。
人間、死の危険が迫れば、火事場の馬鹿力が出てくるものだ。
俺はそのまま逃げた。ただひたすらに夜の街を駆けた。
あいつらに…殺される訳にはいかなかった。


