俺は苦心の末に、何とかグリーシュの望む通り、『厭世の孤塔』の残党を無力化することに成功した。
しかし、思っていた通り…こちらも無傷という訳にはいかなかった。
こちらにもそれなりの被害が出たし、俺自身も少々痛手を負った。
まぁ…この程度の傷なら、どうとでもなる。
それよりこちら側の犠牲者が不安だ。犠牲は最小限に抑えたつもりではあるが…。やはり、ゼロにはならない。
犠牲になった者のことを思うと、純粋に勝利を喜べなかった。
でも、これでグリーシュの望みは叶った。
俺達は、因縁の『厭世の孤塔』を倒したのだ。グリーシュも…これには、喜んでくれるだろう。
もしかしたら、これを機にグリーシュも…前のように戻ってくれるかもしれない。
そんな淡い期待を胸に抱いていた、俺のもとに。
グリーシュが歩み寄ってきた。
普段、グリーシュが前線に立つことはない。後方で指示する役目を担っているからだ。
彼の姿を見つけ、俺はほっとして話しかけた。
「グリーシュ…。『厭世の孤塔』は倒したぞ。俺達は、ようやく昔の雪辱をはら…」
「犠牲者は、20人は下らないようだな」
「…」
俺は、素直にグリーシュと勝利を喜ぼうと思った。
だがグリーシュは、それよりも犠牲者の数の方が気になったらしい。
それは…確かに組織のリーダーとしては、そちらを先に気にするべきだった。
「…そうだな。出来るだけ、最小限に留めたつもりだったが…」
「本当か?お前は部下のことなんて駒としか思ってないんだから、別に何人死んでも良いと思って雑な作戦立てたんじゃないのか?」
「…そんな訳ないだろ」
…ここでもまだ、その態度を貫くのか。
どうして分からないんだ。
本当に俺が部下のことを駒としか思ってないんなら、俺は、前線に立ってなんかいない。
こんな怪我もしてなかった。
何もかも全部部下にやらせて、俺は安全なところに退いていたはずだ。
それなのに。
「…グリーシュ。俺はお前と同じくらい、部下のことも大事に…」
「…まぁ、でも、よくやってくれたよ。ルリシヤは」
「…?」
俺は思わず、ぽかんとしてしまった。
グリーシュから労いの言葉なんて、久しく聞かなかった。
今思えば、随分と上から目線な労いではあったが…。突っかかられるのが当たり前になってきた今では、そんな労いでさえ素直に嬉しかった。
しかし。
「今までも、本当によくやってくれた。お前がいなかったら、『セント・ニュクス』はここまで大きくなれなかったよ。ちっぽけな不良グループが、今ではルティス帝国でも中堅と言われるくらいのマフィアになった。お前のお陰だよ」
「グリーシュ…?」
俺の喜びは、疑念に変わっていた。
一体何で、そんなことを言う?
昔ならともかく、最近のグリーシュを見ていると…そんなことを言うなんて。
『厭世の孤塔』の残党を倒して、前の彼に戻った?
いや、このグリーシュは、以前のグリーシュじゃない。
以前のような…晴れやかで、純粋な目をしたグリーシュとはほど遠い。
それよりももっと…残酷な光を宿した目だった。
…おかしい。
「…なぁ、グリーシュ。どうしたんだ…?」
「…」
「何かあったのか?グリーシュ…。何かあったなら話してくれ。俺は、お前の…」
力になりたいんだ、と。
そう言おうとした。
しかし、それは叶わなかった。最早、グリーシュは俺の力など必要としていなかったからだ。
「…だからお前はもう、用済みだ」
「…え?」
次の瞬間、俺はグリーシュを含め、五人の部下に銃口を向けられた。
しかし、思っていた通り…こちらも無傷という訳にはいかなかった。
こちらにもそれなりの被害が出たし、俺自身も少々痛手を負った。
まぁ…この程度の傷なら、どうとでもなる。
それよりこちら側の犠牲者が不安だ。犠牲は最小限に抑えたつもりではあるが…。やはり、ゼロにはならない。
犠牲になった者のことを思うと、純粋に勝利を喜べなかった。
でも、これでグリーシュの望みは叶った。
俺達は、因縁の『厭世の孤塔』を倒したのだ。グリーシュも…これには、喜んでくれるだろう。
もしかしたら、これを機にグリーシュも…前のように戻ってくれるかもしれない。
そんな淡い期待を胸に抱いていた、俺のもとに。
グリーシュが歩み寄ってきた。
普段、グリーシュが前線に立つことはない。後方で指示する役目を担っているからだ。
彼の姿を見つけ、俺はほっとして話しかけた。
「グリーシュ…。『厭世の孤塔』は倒したぞ。俺達は、ようやく昔の雪辱をはら…」
「犠牲者は、20人は下らないようだな」
「…」
俺は、素直にグリーシュと勝利を喜ぼうと思った。
だがグリーシュは、それよりも犠牲者の数の方が気になったらしい。
それは…確かに組織のリーダーとしては、そちらを先に気にするべきだった。
「…そうだな。出来るだけ、最小限に留めたつもりだったが…」
「本当か?お前は部下のことなんて駒としか思ってないんだから、別に何人死んでも良いと思って雑な作戦立てたんじゃないのか?」
「…そんな訳ないだろ」
…ここでもまだ、その態度を貫くのか。
どうして分からないんだ。
本当に俺が部下のことを駒としか思ってないんなら、俺は、前線に立ってなんかいない。
こんな怪我もしてなかった。
何もかも全部部下にやらせて、俺は安全なところに退いていたはずだ。
それなのに。
「…グリーシュ。俺はお前と同じくらい、部下のことも大事に…」
「…まぁ、でも、よくやってくれたよ。ルリシヤは」
「…?」
俺は思わず、ぽかんとしてしまった。
グリーシュから労いの言葉なんて、久しく聞かなかった。
今思えば、随分と上から目線な労いではあったが…。突っかかられるのが当たり前になってきた今では、そんな労いでさえ素直に嬉しかった。
しかし。
「今までも、本当によくやってくれた。お前がいなかったら、『セント・ニュクス』はここまで大きくなれなかったよ。ちっぽけな不良グループが、今ではルティス帝国でも中堅と言われるくらいのマフィアになった。お前のお陰だよ」
「グリーシュ…?」
俺の喜びは、疑念に変わっていた。
一体何で、そんなことを言う?
昔ならともかく、最近のグリーシュを見ていると…そんなことを言うなんて。
『厭世の孤塔』の残党を倒して、前の彼に戻った?
いや、このグリーシュは、以前のグリーシュじゃない。
以前のような…晴れやかで、純粋な目をしたグリーシュとはほど遠い。
それよりももっと…残酷な光を宿した目だった。
…おかしい。
「…なぁ、グリーシュ。どうしたんだ…?」
「…」
「何かあったのか?グリーシュ…。何かあったなら話してくれ。俺は、お前の…」
力になりたいんだ、と。
そう言おうとした。
しかし、それは叶わなかった。最早、グリーシュは俺の力など必要としていなかったからだ。
「…だからお前はもう、用済みだ」
「…え?」
次の瞬間、俺はグリーシュを含め、五人の部下に銃口を向けられた。


