The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

ごめん、言い過ぎた。

グリーシュが、そう謝ってくれることを期待した。

しかし、グリーシュは謝らなかった。

そのまま、不機嫌そうにくるりと踵を返した。

話し合いを拒否したのだ。

…話し合いも出来なくなったんじゃ、もうどうしようもない。

俺は途方に暮れた。肩を並べて、理想を語り合ったあの時間は何だったのか。

すると。

「…あの、ルニキスさん…。大丈夫?」

「!お前達…」

後ろから、おずおずと年下の構成員達が顔を覗かせた。

先日入ったばかりの、新入りだった。

「…盗み聞きしてたのか?お前達は」

「…ごめんなさい。近くを通りかかったら…その、怒鳴り声が聞こえて」

「…いや、俺が悪かった。怒ってないから、大丈夫だ」

あんな言い争いを、末端の構成員に聞かせてしまうなんて。

リーダー失格だ。俺は。

「…ルニキスさん、グリーシュさんと仲が悪いの?」

「…」

…どうなんだろうな。

…仲…悪いつもりは、なかったんだけどな。

少なくとも、昔は。

「心配しなくても、大丈夫だ」

不安げな彼らを安心させるように、俺は微笑んでみせた。

「ちょっと意見が合わなかっただけだよ。いつもは仲が良いんだ」

「…そうなの?」

「そうだよ」

そのはずなのだ。

俺はまだ、グリーシュとの絆を信じていた。

「なんだか…最近、グリーシュさん…。険しい顔ばかりで…。言葉もきついし…。怖い」

「…そう、だな」

「前は、よく遊んでくれてたのに…。全然遊んでくれなくなったし…」

「…」

末端の構成員ですら、それを感じ取り始めていた。

本当に何とかしなければならないと思った。でも…今の俺では、どうにか出来そうになかった。

「大丈夫だよ。俺がグリーシュと、ちゃんと話してみる。また遊んでもらえるようになるよ」

「…本当?」

「あぁ。本当だ」

「また皆で遊べる?ルニキスさんも…一緒に?」

「あぁ。一緒に遊ぼう。ご飯も一緒に食べよう。俺が作ってやるから」

「本当?嬉しい。ルニキスさんのご飯美味しいから、食べたい」

そうか。それは良かった。

子供達の表情にも、笑顔が戻った。

…グリーシュ。お前は分かっているのか。

『青薔薇連合会』と競い合うよりも先に、まずこの子達の笑顔を守るのが、俺達の役目なんだということを。