The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

ちなみに、『セント・ニュクス』で使っていた偽名、ルニキス・エリステラという名前も、マフィアに入ってから決めたものである。

グリーシュがつけてくれた名前だ。

一方で、『セント・ニュクス』という組織の名前を決めたのは、俺である。

これら名前を決めた経緯は、こんなものだった。

「なぁ、ルリシヤ。名前はどうする?」

「名前?」

「そう。組織の名前決めないと。何か格好良いの、思い付かないか?」

「…」

まぁ…名前はないと困るよな。箔がつかないし。

俺達にも名前が欲しい。

出来れば、格好良いの。

「横文字にするか?」

「うーん…」

考えてみる。他の非合法組織は、どんな名前をつけているか。

代表的なのは、『青薔薇連合会』。

なかなか気取った名前だよな。

それから…因縁の、『厭世の孤塔』。

これも結構気取ってるな。

「…割と気取った名前が多いよな。ルティス帝国のマフィアは」

「でも、シンプルなのもあるじゃん。『RHC』とか」

あぁ、そんなのもあったな。

アルファベット三文字なんて、シンプル過ぎてつまらない。

どうせなら、名前でイキって行きたい。

…うーん。

…あ、そうだ。閃いた。

「…じゃあ、『セント・ニュクス』にしよう」

「何それ。何処から出てきたんだ?」

「夜の女神…。マフィアっぽいかなと思って。ニュクスだけだと語呂が悪いから、セントつけて」

「女神って…。男所帯だぞ、俺達。どうせなら…もっと強そうな、アレスとか、アテナとか…」

「…」

アレスか、アテナ…か。

…なんか、思ってたのと違うな。

俺が露骨にしょぼんとしているのを見て、グリーシュが笑った。

「分かった分かった。さっきのにしよう。『セント・ニュクス』な」

「うん」

それが良いと思う。強そうだし。

夜に降臨する女神って、何だかマフィアっぽい。

「それとさ、ルリシヤ…。コードネームも決めないか?」

「…コードネーム?」

いきなりグリーシュにそう持ち掛けられ、俺はきょとんとしてしまった。

「お互いにコードネームで呼び合うんだよ。マフィアっぽいだろ?」

「…確かに。仮面と同じくらいマフィアっぽいな」

「…」

…何故黙る?

しかも視線を逸らして。

「…とにかく、考えてみようぜ。コードネーム」

「そうだな…。どんなのが良いだろう」

「うーん…。ルニキスってどうだ?」

「ルニキス?」

その名前は、何処から出てきたんだ?

格好良いけど。

「ルリシヤとオニキスを足して、ルニキス。オニキスって知ってる?黒い宝石の」

「うん、知ってる」

見たことはないけど…。

成程、黒い宝石。オニキスをあやかって、ルニキス。

…良いかも。格好良い。

「じゃあルニキスにする」

「あぁ」

俺はそれ以来、ルニキスを名乗るようになった。

もう二度と、ルリシヤを名乗るつもりはなかった。

ルニキスとして生きていくつもりだった。

クレマティスの名も捨て、ルリシヤの名前も捨てて、『セント・ニュクス』のルニキスとして生きていく。

それが、俺の新しい生き方だった。

…その、はずだったのだ。