The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

「…うわっ!?何だそれ?」

「ん?」

翌日会ったとき、グリーシュは驚いてすっとんきょうな声を出した。

「どうした?グリーシュ」

「どうしたはこっちの台詞だよ。それ、何?何があったんだ?」

「…?」

何がって、別に何も…。

…あ。

そうだ、思い出した。俺は今日から、これをつけることにしたのだ。

「…似合うだろ?」

「…いや…そりゃ、似合うけどさ…。何でちょっとドヤ顔…?」

昨日買って、今朝初めてつけてみたのだが。

我ながら、結構似合ってると思った。

今日会った人、全員にぎょっとされたけど。

「ルリシヤ…何か…その、罰ゲームでも受けてるのか…?ポーカーで負けたとか…?」

「…?別に、負けてないけど…」

自慢じゃないが、ギャンブルの類は得意だ。

得意になったのだ。ここ数年で。

未だに負けなしである。

そんな俺が、ギャンブルで負けて罰ゲームなんてするはずがない。

「じゃあ…何で仮面?」

「…何でって…」

…昨日、話したじゃん。

「…グリーシュが、チョーカーつけてるから」

「は?」

「俺にも何かつけてみれば良いって、昨日言ったじゃないか」

「え!?それでその仮面つけたのか…?」

「…?」

何か、おかしかったか?

いかにもこう…裏社会の人間っぽくて、格好良くないか?

怪人みたいな感じで。

「似合わないか?」

「いや…似合ってはいるけど…」

「マフィアっぽいだろ?」

「…いや…マフィアっぽくはない…。って言うか、コスプレ…」

「…」

「あっ、いや似合ってる。似合ってるし、マフィアっぽいよルリシヤ。良い。良いと思う」

「ありがとう」

良かった。

「じゃあ、これ毎日つけるよ」

「え!?毎日!?」

「…ちゃんと洗い替えも買ってあるから、心配要らないぞ」

「…そういう心配はしてないんだけど…」

「…?」

グリーシュが何でそんな複雑そうな表情をしているのかは分からないが。

とにかく、似合ってると言ってもらえたので良かった。

今日から、これで行こう。

「…お前、昔からちょっと…たまにずれてるところあるよな」

「…何が?」

ずれてる?何が?どの辺が?

「いや…何でもない。それが、お前の良いところだよ」

「そうか…?ありがとう」

よく分からないけど、多分褒めてくれているのだろう。

この日以降、俺は毎日仮面をつけている。

だからこの仮面は、俺の…マフィアとしてのアイデンティティみたいなものなのだ。