The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

この一件が、最初のきっかけだった。

「…俺達は、このままじゃ駄目なんだ」

「…グリーシュ?」

グリーシュは、険しい顔をしてそう呟いた。

…このままじゃ駄目って、一体どういう…。

「今のままじゃ、俺達は所詮路地裏のチンピラ集団だ。『厭世の孤塔』や、少し大きな組織に目をつけられたら、あっという間に潰されてしまう…。そんな弱者の集まりなんだ」

「…グリーシュ…」

その通りだった。今回の件で、思い知らされた。

俺達は、少し天狗になっていたのかもしれない。

絶大な権力を前にしては、俺達は小粒も同然だ。

「もっと力をつけなきゃいけない。俺達は…仲間を守ることが出来る力をつけなきゃならないんだ」

「力を…って。どうやって」

「俺達もマフィアになるんだ。力を貸してくれ、ルリシヤ。お前と俺がいれば、出来るはずだ」

「…!」

あの当時、俺は自分がマフィアになるなんて思っていなかった。

グリーシュに言われるまで、そんな発想すらなかった。

「グリーシュ…。でも、俺は…」

お前と一緒にいられればそれで良いと思っていた。

それだけだったのだ。それ以上のものなんて、俺は欲しくなかった。

しかし。

「俺は力が欲しい。俺みたいな貧民街のクズでも、努力すれば成り上がれるってことを証明したいんだ。俺とお前なら出来る。お願いだ、ルリシヤ…」

「…グリーシュ…」

グリーシュは真摯で、覚悟を宿した目をして俺を見つめた。

年下の子供が殺されたのは、俺だって悔しい。

もう二度と、仲間が傷つくことがないような…力が欲しい。

でも同時に、権力という力を手にすることが俺は怖かった。

クレマティス家の当主として、横暴に力を振るった父と兄の姿を思い出した。

俺も権力を手にすれば、あんな風になってしまうかもしれない。

…いや、そんなことにはならない。

だって、俺にはグリーシュがいる。

俺は一人じゃない。父や兄のように、一人ぼっちじゃないのだ。

だから…。

「…分かった、グリーシュ」

俺も、覚悟を決めよう。

「一緒に行こう。俺も力を貸す」

「…ありがとう…!」

あの頃は、グリーシュも純粋に俺との友情を信じていてくれた。

俺も信じていた。

今でも、本当は…信じたいと思っている。