その翌日から、俺はフューニャの荷造りを手伝ってやった。
慣れてないと大変だが、俺は海外に出張することも多いので、この手の準備は慣れたもの。
里帰りを控えて、フューニャも嬉しそうだった。
彼女が嬉しそうなのは俺も嬉しいのだが。
何と言うか…ちょっと、複雑な思いだ。
「…失礼します、ルルシーさん。これ…頼まれてた資料です」
「…ん?あぁ…ルヴィア…」
その日、上司であるルルシーさんの執務室を尋ねると。
ルルシーさんは、沈んだ顔でパソコンをカタカタしていた。
そのルルシーさんの横で、鼻唄混じりのルレイアさんが爪にマニキュアを塗っていた。
彼はいつでも元気そうだ。
「ルルシーさん…浮かない顔ですね…」
「そうか…?最近、色々心労が多いからかな」
無理もなかろう。最近新しい幹部が就任し、誰かと思えばルレイアさんを撃ったという暗殺者。
アシュトーリアさんもルレイアさんも、考えがあってそんなことをしたのだろうけど。
ルルシーさんにとって、ルレイアさんを撃った人と仲良くするなんて、苦痛でしかないことだろう。
気の毒な。
「…しかし、ルヴィア。お前も浮かない顔だな」
「え…そうですか…?」
「あぁ…俺と同じ顔してるぞ」
「…」
「…」
浮かない顔をした、上司と部下。
これは大変宜しくない労働環境だ。
違う。労働環境が悪い訳じゃない。
あくまでこれは、俺の個人的な問題なのだ。
「奥さんと喧嘩でもしたんですか?」
マニキュアをぺたぺた塗りながら、ルレイアさんが尋ねた。
喧嘩なんて、とんでもない。
「そうじゃなくて…その…来月から嫁が、里帰りするんです」
「ほう。第一子ですか」
「…?」
…はい?
ずるっ、とずっこけたルルシーさんが、俺の代わりにルレイアさんに突っ込んでくれた。
「馬鹿、ルレイア。そういう意味じゃねぇだろ」
「そうですか?里帰りって言うからつい…。…ん?そういやお宅の嫁、箱庭帝国出身じゃなかったですか?」
「はい、そうです」
とりあえず、第一子云々は忘れよう。
「箱庭帝国に里帰りですか。よく渡航許可が降りましたね」
「あ…向こうの友達が、ルアリスに頼んでくれたそうです」
要するに、コネだ。
そうでもしなきゃ、箱庭帝国に渡るのは難しいからな。
しかし、ルレイアさんは。
「…?ルアリスって何でしたっけ、ルルシー」
「いい加減覚えてやれよ…。箱庭帝国の、元『青薔薇解放戦線』のリーダーだよ。一緒に革命しただろ」
「あ~、なんだ。革命馬鹿ですか。そういやそんな名前でしたね」
「…」
…ルレイアさん、頭が良いのに人の名前をすぐ忘れるってことは。
自分の興味がない人の名前、そもそも覚える気がないんだろうな。
「成程、それで里帰りですか」
「はい…」
「良いことじゃないですか。何が憂鬱なんですか?」
「…」
別に…憂鬱な訳ではないのだが。
何となく、こう…。
「…あ、分かった。嫁が浮気しないか心配なんですね?」
「は?」
これにはさすがの俺も、上司相手に素で反応してしまった。
そしてルルシーさんは、再度ずっこけていた。
慣れてないと大変だが、俺は海外に出張することも多いので、この手の準備は慣れたもの。
里帰りを控えて、フューニャも嬉しそうだった。
彼女が嬉しそうなのは俺も嬉しいのだが。
何と言うか…ちょっと、複雑な思いだ。
「…失礼します、ルルシーさん。これ…頼まれてた資料です」
「…ん?あぁ…ルヴィア…」
その日、上司であるルルシーさんの執務室を尋ねると。
ルルシーさんは、沈んだ顔でパソコンをカタカタしていた。
そのルルシーさんの横で、鼻唄混じりのルレイアさんが爪にマニキュアを塗っていた。
彼はいつでも元気そうだ。
「ルルシーさん…浮かない顔ですね…」
「そうか…?最近、色々心労が多いからかな」
無理もなかろう。最近新しい幹部が就任し、誰かと思えばルレイアさんを撃ったという暗殺者。
アシュトーリアさんもルレイアさんも、考えがあってそんなことをしたのだろうけど。
ルルシーさんにとって、ルレイアさんを撃った人と仲良くするなんて、苦痛でしかないことだろう。
気の毒な。
「…しかし、ルヴィア。お前も浮かない顔だな」
「え…そうですか…?」
「あぁ…俺と同じ顔してるぞ」
「…」
「…」
浮かない顔をした、上司と部下。
これは大変宜しくない労働環境だ。
違う。労働環境が悪い訳じゃない。
あくまでこれは、俺の個人的な問題なのだ。
「奥さんと喧嘩でもしたんですか?」
マニキュアをぺたぺた塗りながら、ルレイアさんが尋ねた。
喧嘩なんて、とんでもない。
「そうじゃなくて…その…来月から嫁が、里帰りするんです」
「ほう。第一子ですか」
「…?」
…はい?
ずるっ、とずっこけたルルシーさんが、俺の代わりにルレイアさんに突っ込んでくれた。
「馬鹿、ルレイア。そういう意味じゃねぇだろ」
「そうですか?里帰りって言うからつい…。…ん?そういやお宅の嫁、箱庭帝国出身じゃなかったですか?」
「はい、そうです」
とりあえず、第一子云々は忘れよう。
「箱庭帝国に里帰りですか。よく渡航許可が降りましたね」
「あ…向こうの友達が、ルアリスに頼んでくれたそうです」
要するに、コネだ。
そうでもしなきゃ、箱庭帝国に渡るのは難しいからな。
しかし、ルレイアさんは。
「…?ルアリスって何でしたっけ、ルルシー」
「いい加減覚えてやれよ…。箱庭帝国の、元『青薔薇解放戦線』のリーダーだよ。一緒に革命しただろ」
「あ~、なんだ。革命馬鹿ですか。そういやそんな名前でしたね」
「…」
…ルレイアさん、頭が良いのに人の名前をすぐ忘れるってことは。
自分の興味がない人の名前、そもそも覚える気がないんだろうな。
「成程、それで里帰りですか」
「はい…」
「良いことじゃないですか。何が憂鬱なんですか?」
「…」
別に…憂鬱な訳ではないのだが。
何となく、こう…。
「…あ、分かった。嫁が浮気しないか心配なんですね?」
「は?」
これにはさすがの俺も、上司相手に素で反応してしまった。
そしてルルシーさんは、再度ずっこけていた。


