「…?」
父は、息子が何をそんなに泣きながら訴えているのか分からないようだった。
その表情からして、俺を小馬鹿にしているのが伺えた。
それがまた、俺の神経を逆撫でした。
挙げ句、言い放った言葉かこれだった。
「なんだ、そんなにあれが気に入ってたのか?」
「…!?」
父は最早、人間を殺したとも思っていなかった。
息子が可愛がっているペットを、勝手に捨ててきてしまった。それくらいにしか考えていなかったのだ。
「それは悪いことをしたな。新しい女を連れてこよう。どれが良い?何人欲しいんだ?」
「…」
父は、息子を宥めるようにそう言った。
そのとき俺は、父を人間だと思えなくなった。
…この人は一体、何を言ってるんだ?
人間に代わりがいるとでも?トミトゥの代わりが?何処に?
人間はペットじゃない。いなくなったからって、他のものにすげ替えても、それは違う人でしかないんだ。
父は、人間を人間として見ていない。
いくらでも替えの利く、労働力の一つとしか見ていないのだ。
こんなおぞましい男の息子であることに、俺は寒気がした。
「…代わりなんて、要らない」
トミトゥの代わりになる人間は、もうこの世の何処にもいないのだから。
「そうか?まぁ…何か欲しいものがあったら言いなさい」
息子が、お気に入りの玩具を捨てられて不貞腐れているとでも思ったのだろう。
父は涼しい顔でそう言った。
自分が殺した者が、一人の人間であることをまるで分かっていない。
分かっていないのだ。この男は。
俺は震えながら、父の書斎を出た。
…「誰か」じゃ、駄目なのだ。
俺はそのとき、初めて気がついた。
いつか、誰かが助けてくれるなんて。
いつか、誰かが正義を為そうとするなんて。
俺は、誰かに頼ることしか考えていなかった。
でも、「誰か」じゃ駄目なのだ。
そんな人を待っていたって、いつ現れるのか分からない。
いずれ訪れるかもしれない英雄を待っている間に、トミトゥのような弱者が、どれほど犠牲になることか。
英雄は、待ち望むものではない。
自分から、掴み取りにいくものなのだ。
「誰か」が英雄になるんじゃない。
父は、息子が何をそんなに泣きながら訴えているのか分からないようだった。
その表情からして、俺を小馬鹿にしているのが伺えた。
それがまた、俺の神経を逆撫でした。
挙げ句、言い放った言葉かこれだった。
「なんだ、そんなにあれが気に入ってたのか?」
「…!?」
父は最早、人間を殺したとも思っていなかった。
息子が可愛がっているペットを、勝手に捨ててきてしまった。それくらいにしか考えていなかったのだ。
「それは悪いことをしたな。新しい女を連れてこよう。どれが良い?何人欲しいんだ?」
「…」
父は、息子を宥めるようにそう言った。
そのとき俺は、父を人間だと思えなくなった。
…この人は一体、何を言ってるんだ?
人間に代わりがいるとでも?トミトゥの代わりが?何処に?
人間はペットじゃない。いなくなったからって、他のものにすげ替えても、それは違う人でしかないんだ。
父は、人間を人間として見ていない。
いくらでも替えの利く、労働力の一つとしか見ていないのだ。
こんなおぞましい男の息子であることに、俺は寒気がした。
「…代わりなんて、要らない」
トミトゥの代わりになる人間は、もうこの世の何処にもいないのだから。
「そうか?まぁ…何か欲しいものがあったら言いなさい」
息子が、お気に入りの玩具を捨てられて不貞腐れているとでも思ったのだろう。
父は涼しい顔でそう言った。
自分が殺した者が、一人の人間であることをまるで分かっていない。
分かっていないのだ。この男は。
俺は震えながら、父の書斎を出た。
…「誰か」じゃ、駄目なのだ。
俺はそのとき、初めて気がついた。
いつか、誰かが助けてくれるなんて。
いつか、誰かが正義を為そうとするなんて。
俺は、誰かに頼ることしか考えていなかった。
でも、「誰か」じゃ駄目なのだ。
そんな人を待っていたって、いつ現れるのか分からない。
いずれ訪れるかもしれない英雄を待っている間に、トミトゥのような弱者が、どれほど犠牲になることか。
英雄は、待ち望むものではない。
自分から、掴み取りにいくものなのだ。
「誰か」が英雄になるんじゃない。


