ある日、上司であるルルシーさんのもとに、頼まれていた書類を持っていったときのこと。
「見てくださいよルルシー。素敵でしょ?」
「あ?うん…どうしたんだ?それ」
ルルシーさんの執務室には、今日も当たり前のように、ルレイアさんが来ていた。
そのルレイアさんが、ルルシーさんに、自分の指を見せていた。
何だろうなぁと思ってよく見ると、ルレイアさんの右手の薬指に、きらきら光る指輪がはめられていた。
しかも彼がはめていたのは、何カラットもする大粒のダイヤモンド…なんて、ルレイアさんには似つかわしくない代物ではなかった。
全身黒ずくめのルレイアさんに相応しい、真っ黒のダイヤモンドの指輪。
ダイヤまで黒とは…。さすがルレイアさん。恐れ入る。
「買ったのか?」
「とんでもない!最近落とした、金持ちの実業家の奥様にちょっと『おねだり』して、買ってもらいました」
うふふ、と妖艶に笑うルレイアさん。
つまり、いつものハーレムの会員に貢がせたと…そういうことか。
おぉ、怖。俺にはとても真似出来ない。
「素敵でしょう?ね、ルヴィアさん?」
「え?あ、はい…とても」
いきなり俺に話を振ってきたので、慌ててしまった。
確かにブラックダイヤは素敵だけれども…。でもそれが似合うのは、ルレイアさんだからこそだ。
同じものを俺がつけたとしても、全く似合わないどころか、ダイヤに失礼だろう。
「済まんな、ルヴィア…。ルレイアがアホで…」
ルルシーさんは、申し訳なさそうに溜め息をついた。
「いえ、とんでもない…」
ルレイアさんには、フューニャのことでお世話になったし…。
「そういえばルヴィアさんは、既婚者なのに結婚指輪はつけてないんですねぇ。何でなんですか?」
俺の左手を見ながら、ルレイアさんがそう言った。
え?結婚指輪?
「指輪つける主義じゃないんですか?」
「いえ…そういう訳ではないですけど」
考えたこともなかった。結婚指輪なんて。
そういえば俺とフューニャは、知り合ってから割とすぐに結婚したし…。結婚前後は、フューニャの戸籍のことやら何やらで、指輪のことまで頭が回らなかった。
フューニャも何も言わなかったし…。
「買ってないんです。指輪…」
「えぇ~?買ってないんですか?勿体ない」
「…やっぱり、あった方が良いんでしょうか?」
今からだと…ちと遅い気もするが。
「そりゃ婚約指輪、結婚指輪は女性の夢ですからね。お宅は婚約期間がなかったんでしょうから、婚約指輪はなしとしても…。そのぶん結婚指輪に力を入れても良いと思いますよ」
…確かに。
思えばフューニャは、アクセサリーの類をろくに持っていないじゃないか。
「それに、恋人との絆を確認する為にも…やっぱり愛の証って必要ですよね。ねぇルルシー?」
「…俺の方を見て言うな。ルヴィアに言え」
ルレイアさんに見つめられ、ルルシーさんは露骨に顔を背けていた。
「そんな訳で俺達も…そろそろ婚約指輪を」
「買わない」
「いけず~!」
「引っ付くな!」
あぁ…。今日も仲良いなぁ、ルレイアさんとルルシーさん。
「ラブラブのお二人を邪魔するのも無粋なので、俺はこれで失礼しますね」
「はーい!お気遣いありがとうございます」
「おい、ちょっと待てルヴィア!ラブラブなのはお前らだろ!ちがっ…。離れろルレイア!」
仲良さそうな声を聞き、微笑ましいなぁ、と思いながら…俺は上司の執務室を後にした。
「見てくださいよルルシー。素敵でしょ?」
「あ?うん…どうしたんだ?それ」
ルルシーさんの執務室には、今日も当たり前のように、ルレイアさんが来ていた。
そのルレイアさんが、ルルシーさんに、自分の指を見せていた。
何だろうなぁと思ってよく見ると、ルレイアさんの右手の薬指に、きらきら光る指輪がはめられていた。
しかも彼がはめていたのは、何カラットもする大粒のダイヤモンド…なんて、ルレイアさんには似つかわしくない代物ではなかった。
全身黒ずくめのルレイアさんに相応しい、真っ黒のダイヤモンドの指輪。
ダイヤまで黒とは…。さすがルレイアさん。恐れ入る。
「買ったのか?」
「とんでもない!最近落とした、金持ちの実業家の奥様にちょっと『おねだり』して、買ってもらいました」
うふふ、と妖艶に笑うルレイアさん。
つまり、いつものハーレムの会員に貢がせたと…そういうことか。
おぉ、怖。俺にはとても真似出来ない。
「素敵でしょう?ね、ルヴィアさん?」
「え?あ、はい…とても」
いきなり俺に話を振ってきたので、慌ててしまった。
確かにブラックダイヤは素敵だけれども…。でもそれが似合うのは、ルレイアさんだからこそだ。
同じものを俺がつけたとしても、全く似合わないどころか、ダイヤに失礼だろう。
「済まんな、ルヴィア…。ルレイアがアホで…」
ルルシーさんは、申し訳なさそうに溜め息をついた。
「いえ、とんでもない…」
ルレイアさんには、フューニャのことでお世話になったし…。
「そういえばルヴィアさんは、既婚者なのに結婚指輪はつけてないんですねぇ。何でなんですか?」
俺の左手を見ながら、ルレイアさんがそう言った。
え?結婚指輪?
「指輪つける主義じゃないんですか?」
「いえ…そういう訳ではないですけど」
考えたこともなかった。結婚指輪なんて。
そういえば俺とフューニャは、知り合ってから割とすぐに結婚したし…。結婚前後は、フューニャの戸籍のことやら何やらで、指輪のことまで頭が回らなかった。
フューニャも何も言わなかったし…。
「買ってないんです。指輪…」
「えぇ~?買ってないんですか?勿体ない」
「…やっぱり、あった方が良いんでしょうか?」
今からだと…ちと遅い気もするが。
「そりゃ婚約指輪、結婚指輪は女性の夢ですからね。お宅は婚約期間がなかったんでしょうから、婚約指輪はなしとしても…。そのぶん結婚指輪に力を入れても良いと思いますよ」
…確かに。
思えばフューニャは、アクセサリーの類をろくに持っていないじゃないか。
「それに、恋人との絆を確認する為にも…やっぱり愛の証って必要ですよね。ねぇルルシー?」
「…俺の方を見て言うな。ルヴィアに言え」
ルレイアさんに見つめられ、ルルシーさんは露骨に顔を背けていた。
「そんな訳で俺達も…そろそろ婚約指輪を」
「買わない」
「いけず~!」
「引っ付くな!」
あぁ…。今日も仲良いなぁ、ルレイアさんとルルシーさん。
「ラブラブのお二人を邪魔するのも無粋なので、俺はこれで失礼しますね」
「はーい!お気遣いありがとうございます」
「おい、ちょっと待てルヴィア!ラブラブなのはお前らだろ!ちがっ…。離れろルレイア!」
仲良さそうな声を聞き、微笑ましいなぁ、と思いながら…俺は上司の執務室を後にした。


