帝国騎士団が用意してくれた、帝立ホテル。
そこが、現在俺達『青薔薇解放戦線』がねぐらにしている基地だった。
ルーシッド殿曰く、帝都に数ある帝立ホテルの一つに過ぎないとのことだったが。
俺にとってそこは、まるで王族の御殿のように見えていた。
俺だけじゃない。革命軍の面々にとっては皆そうだ。
こんな大きな、そして豪華なホテルは…祖国には存在しなかった。
憲兵局の本部だって、建物は大きかったけど…でも内装は簡素なものだった。
父のツテで、何度か入ったことがある。
それなのにルティス帝国には、こんなホテルが他にもいくつもあるらしい。
これよりもっと豪華なものだってあるそうだ。
この国は…俺達にとっては、あまりにも豊か過ぎる。
それが、全ての問題になっているのだ。
俺はユーレイリーと共に、セトナ様のいるホテルの最上階に上がった。
「ユーレイリー…もうここまでで良い。ありがとう」
ここから先は、俺が一人で行く。
「坊っちゃん…。大丈夫ですか?」
「心配ないよ」
俺が、しっかりしなければならないのだ。
俺がこの革命軍の、リーダーなのだから。
「…かしこまりました。では…失礼します」
「あぁ」
ユーレイリーが去ってから、俺はセトナ様の部屋の呼び出し鈴を押した。
「セトナ様…俺です。お話があります」
起きていると思うが…入れてもらえるだろうか。
すると。
部屋の鍵が、かちゃり、と開いた。
「ルアリスさん…。どうしました?」
「済みません、セトナ様…少し耳に入れたいことがあります」
「…分かりました。どうぞ」
セトナ様は、快く迎え入れてくれた。
何かを察したような表情だったから…朧気ながら、彼女ももう気づいているのかもしれない。
「飲み物でも淹れましょう」
「あ…それなら、俺が」
彼女にそんなことはさせられないと、俺は自ら立ち上がりかけたのだが。
「あなたは今お客様なのですから、私が淹れるのは当然です」
にこりとしてそう言われると…大人しく座って待っていることしか出来なかった。
ものの数分で、セトナ様は香ばしい芳香を漂わせるティーカップを二つ、持ってきた。
精々ホテルのアメニティだというのに…随分と高級感溢れる香りだ。
一口啜ると、これまた味わい深い濃厚な紅茶の味が口一杯に広がった。
…最近は、もうこれが当たり前になってきたな。
「この国は良いですね…。たった数分で、こんな美味しいお茶を淹れられるのですから」
セトナ様も、紅茶を一口啜って、そう言った。
彼女は、スイートルームの大きな窓から、外を眺めていた。
スイートルームだけに、大層見晴らしも良かった。
夜になったら、きっと素晴らしい夜景を見られることだろう。
「ルティス帝国は、本当に豊かな国ですね…」
「…俺も、そう思います」
だからこそ、俺達はここに来た。
ここを拠点にして、憂える祖国を救おうと思った。
その思いは…今も変わっていない。
しかし。
この国は…この国は、俺達が思っていたよりずっと豊かで…住み心地が良くて…恵まれていた。
それが、問題なのだ。
「…その豊かさが、今…仇になっているのです、セトナ様」
「…」
彼女は驚きもせず、俺の顔をじっと見つめた。
そこが、現在俺達『青薔薇解放戦線』がねぐらにしている基地だった。
ルーシッド殿曰く、帝都に数ある帝立ホテルの一つに過ぎないとのことだったが。
俺にとってそこは、まるで王族の御殿のように見えていた。
俺だけじゃない。革命軍の面々にとっては皆そうだ。
こんな大きな、そして豪華なホテルは…祖国には存在しなかった。
憲兵局の本部だって、建物は大きかったけど…でも内装は簡素なものだった。
父のツテで、何度か入ったことがある。
それなのにルティス帝国には、こんなホテルが他にもいくつもあるらしい。
これよりもっと豪華なものだってあるそうだ。
この国は…俺達にとっては、あまりにも豊か過ぎる。
それが、全ての問題になっているのだ。
俺はユーレイリーと共に、セトナ様のいるホテルの最上階に上がった。
「ユーレイリー…もうここまでで良い。ありがとう」
ここから先は、俺が一人で行く。
「坊っちゃん…。大丈夫ですか?」
「心配ないよ」
俺が、しっかりしなければならないのだ。
俺がこの革命軍の、リーダーなのだから。
「…かしこまりました。では…失礼します」
「あぁ」
ユーレイリーが去ってから、俺はセトナ様の部屋の呼び出し鈴を押した。
「セトナ様…俺です。お話があります」
起きていると思うが…入れてもらえるだろうか。
すると。
部屋の鍵が、かちゃり、と開いた。
「ルアリスさん…。どうしました?」
「済みません、セトナ様…少し耳に入れたいことがあります」
「…分かりました。どうぞ」
セトナ様は、快く迎え入れてくれた。
何かを察したような表情だったから…朧気ながら、彼女ももう気づいているのかもしれない。
「飲み物でも淹れましょう」
「あ…それなら、俺が」
彼女にそんなことはさせられないと、俺は自ら立ち上がりかけたのだが。
「あなたは今お客様なのですから、私が淹れるのは当然です」
にこりとしてそう言われると…大人しく座って待っていることしか出来なかった。
ものの数分で、セトナ様は香ばしい芳香を漂わせるティーカップを二つ、持ってきた。
精々ホテルのアメニティだというのに…随分と高級感溢れる香りだ。
一口啜ると、これまた味わい深い濃厚な紅茶の味が口一杯に広がった。
…最近は、もうこれが当たり前になってきたな。
「この国は良いですね…。たった数分で、こんな美味しいお茶を淹れられるのですから」
セトナ様も、紅茶を一口啜って、そう言った。
彼女は、スイートルームの大きな窓から、外を眺めていた。
スイートルームだけに、大層見晴らしも良かった。
夜になったら、きっと素晴らしい夜景を見られることだろう。
「ルティス帝国は、本当に豊かな国ですね…」
「…俺も、そう思います」
だからこそ、俺達はここに来た。
ここを拠点にして、憂える祖国を救おうと思った。
その思いは…今も変わっていない。
しかし。
この国は…この国は、俺達が思っていたよりずっと豊かで…住み心地が良くて…恵まれていた。
それが、問題なのだ。
「…その豊かさが、今…仇になっているのです、セトナ様」
「…」
彼女は驚きもせず、俺の顔をじっと見つめた。


