俺は弱いものが嫌い。人間が嫌い。
 というひねくれた理由で俺の性格もひねくれていた。
 〝ありがとう〟や〝ごめん〟なんて口が裂けても言えない。そんな常識が出来ないダメダメ男。
 基本、女が寄って来ても冷たい態度をとれば俺をにらむようにして帰っていく。
 だれも俺の中身を見てくれない。中身を好きになってくれる人はいない。そもそも俺のいいところなんてないしそんな俺を認めてくれる奴はいない。
 そんな時、白鳥結が現れた。
 ほかの女みたいに外見で近づいてくるわけではないし下心なども一切ない。だけど俺はそんな奴は裏があると思い、避けていた。そんな俺を見ても仁と陸は騙されてほだされていく。
 …まったくばかばかしい。
 だけど、そんな冷たい態度をとっていた俺に白鳥結だけ俺のところに来てくれた。
『類さんっ。さっき足ひねってましたよね。見せてください。』
『少し失礼します。痛かったら言ってください。』
 そう俺に近づいてきた。そんなの、俺は大丈夫なのに。そんなに弱くみられているなんて思い、イラついていた。
 ついに湿布まで出しておれの足に貼ってきた。
 んなの迷惑。どうせ俺めあてで寄ってきただろ…。
『…余計なことはするな。』
 俺はきつく冷たく言い放った。
『余計じゃないですよ。悪化したら大変です。』
 顔は見えないけど、その声から白鳥結からの良心からくる行動だったことを理解した。
『できました。湿布を変えたりしてくださいね。それにしばらくは安静にしててください。」
 初めてのやつだった。
『俺のこと嫌いじゃないのかよ。』
『嫌いになんてなりません。』
 当たり前のように言う白鳥結に初めて〝恋〟をした。
 もしかしたら俺は……。

―――――俺はただ、認めてほしかっただけなのかもしれない。