心では強がってみるものの、受けたダメージは大きい。
がっくりと肩を落として顔を俯かせていると、上から「ふっ」と吹き出すような笑いが聞こえた。
「……え？」
「いや、がーんって」
「わざわざ声に出すの、ウケるね」と、唯澄くんは目を伏せながら口元を緩めた。
「か、かっこいい……！」
「は、」
「唯澄くんの笑った顔、久しぶりに見れた！」
正確に言えば、私に笑いかけてくれる顔を久しぶりに見た。
私といる時は無表情が多めの唯澄くんだけど、友達と一緒の時はよく笑っている。ガハガハと大口を開けて笑う笑い方ではなくて、目尻を下げて控えめに笑う優しい笑い方。
友達に見せるような笑顔とは違うけれど、唯澄くんが私の言葉や行動に笑みを見せてくれることはこれまでもあった。
我慢ができずに溢れてしまったような笑み。唯澄くんはこの顔をいつも不意に見せてくれるから、本当に心臓に悪い。
受けたダメージはゼロになる。
「はあ、最高にかっこいい……尊い、すき、だいすき。ありがとうございます」
両手を合わせて小さく拝むと、唯澄くんはすっと表情を無くした。
