ツイッター和歌集・1

 自殺ではなく自活、つまり詩人トック君こと芥川は自殺することで自分を活かそうとした、救おうとした分けですね。それ程にこの世、娑婆世界への、そして何より人間存在の意義、畢竟自分自身への嫌悪と云うか、懐疑が進んでいた。すべからく厭世主義が嵩じ、危機感が嵩じていた分けです。換言すれば自分とこの世へのシニカル度が進んでいた。で、芥川は取り敢えず、自殺する前に、「それならばいっそ、自分がシニカルしたこの浮き世を、現実社会を、パロディ化して小説上に現出させてしまえ。そしてそこに自分自身を住まわせてしまえ」とばかりにこの小説「河童」を書いたのでしょう。謂わばあの世への逃避行の予行演習です。
 その人間社会をパロディ化した河童の世界を表するに「一番不思議だつたのは河童は我々人間の真面目に思ふことを可笑しがる、同時に我々人間の可笑しがることを真面目に思ふ」としています。これはつまり河童の国が芥川にとっては理想郷(嘘のない世界)であるということです。人間社会では例え悪意があっても友人を演じて見せ、本音を建て前で隠せます。それで平然としていられるし、またその様を我が鋭利な理知の力と感性以て見抜き認識し、シニカル然と、泰然として居られた。しかし正覚者の御言葉で「本音と建前の乖離はやがて自分を滅ぼします」というものがある。その御言葉を明かすが如くに、芥川はやがて自らに追い込まれ耐えられなくなって自分の造った河童の国へと、すなわち理想郷へと逃げてしまったのでしょう。
 しかしその理想郷たる河童の国とは具体的にどういう所だったのでしょう。それを云うに手っ取り早いのが同国の宗旨たる「生活教」でしょう。