隠れ執着外交官は「生憎、俺は諦めが悪い」とママとベビーを愛し離さない

 私がしゃしゃり出ず、ボディガードを兼ねて、もっと見るからに強そうな男性にガイドを頼むとかしたほうがよかったのだ。

 あの場では自分なりに精一杯抗議をしたが、相手は女性とはいえ体格もよく、勢いでは敵わない。罵られただけで済んだが、暴力にまで発展していたらと思うとゾッとする。

「母はとても感心していた。君のおかげで本当に助かったよ」

「ありがとうございます」

 彼は優しいから、私に気を遣ってそう言ってくれるが、そんなふうに気を遣わずに、ちゃんと言わなきゃダメだって、叱ってくれてもいいのにとも思った。

 でも、それは贅沢だ。

 本音は出してはいけない。当たり障りのない言葉を選び、相手を傷つけないように思いやる。それが私たちの形。

 わかっているのになんだか寂しくて、悲しい。

 私はどうすればよかったのだろう。

 悶々と考え込んでいた次の日、私は珍しく体調を崩してしまった。



「すみません」