隠れ執着外交官は「生憎、俺は諦めが悪い」とママとベビーを愛し離さない

 とても素敵なコートだったが、イギリスは動物愛護の意識が強い。フェイクならいざ知らず、遠目にもわかる見事なリアルファーだ。過激派の目に留まれば、最悪の場合生卵をぶつけられる可能性もある。

 事情を添えて説明したが、彼女は『大丈夫よ、空港でも見かけたもの』と笑って取り合わなかった。

 だが結局、すれ違いざまに罵声を浴びせられたのだ。

 英語がよくわからない彼女でも敵意剥き出しの態度と怒声に自分が罵られているとわかり、彼女は泣き出した。

 お義母さまが心配して、すぐ近くのブティックで代わりのコートをプレゼントし宥めた。

 もう少し私が強く言えばよかったのだ。遠慮したばっかりにと反省したが、彼女はよほどショックだったのか

『私、なにも知らないから』と、しばらく泣き続け、それ以来彼女は私を避け、お義母さまにしか話しかけようとしなかった。

 申し訳なかったと思う。楽しいはずの旅行に水を差してしまって。