隠れ執着外交官は「生憎、俺は諦めが悪い」とママとベビーを愛し離さない

「香乃子、それはね、真司さんの問題よ? まず真司さんにすべてを打ち明けなさい。それからよ」

「でもお母さん」

 母は首を横に振る。

「小さい頃から、香乃子はずっとそうだったわね。お父さんや周りの顔色を読んであきらめていた」

 母は悲しそうに笑う。

「抵抗しても聞くお父さんじゃない。だから私も香乃子の気持ちをわかっていながら、なにもしてあげられなかった。ごめんね、香乃子」

 母は気づいていたのか。

 うつむいて唇を噛む。私が通う女子校を指定したのも父。通学には運転手をつけて、私の友人関係さえ口出しをした。就職先を桜井グループにしたのもすべて父だ。

 私は地元の学校に通って近所の子どもたちと遊びたかったし、アルバイトもしてみたかった。母も私の気持ちなど考えていないと思っていたが……。

「でも香乃子はどこに行っても、ちゃんと自分の居場所を作っていたわね。真司さんとのお見合いもそう、香乃子、あなたは真司さんにとって大切な人になっているのよ」

「お母さん?」