隠れ執着外交官は「生憎、俺は諦めが悪い」とママとベビーを愛し離さない

「李花さんが勝手にそう思い込んでいるって?」

 こくりと頷いた。

「本当のことはわからないけど、真司さんはお見合いの席で言った一年という期限は、言葉のあやだって言うの。私は真司さんが嘘を言ってるとは思えなくて……」

 そうであって欲しいという思いが判断力を鈍らせているかもしれない。

 でも私は彼を信じたかった。

「李花さんのお母様は、外務省とも強い繋がりがあるの。もし李花さんが一方的にそう思っていたとしてもそう簡単にあきらめるとは思えない。私はそれが怖いの」

 母は深刻そうに時折眉をひそめて考え込みながら私の話を聞いていたが、ゆっくりと口を開いた。

「確かに一ノ関の奥様の影響力は大きいわね」

 習い事が廃れ始めている今でも門下生は数十万人はいるといわれている。海外でも展開しているので、それらを含めれば巨大組織だ。李花の母はその頂点に君臨している。

 彼女が神宮寺家をどう思っているのか、真司さんをどう見ているのか無視はできない。