切恋memory

「今日と明日と明後日、どれがいい?」



これは、メロンタウンで遊んでいる時に綾羽ちゃんから訊かれた。



「えー? じゃあ、明後日」



明後日はバレンタインだ。

だから、バレンタインのプレゼントを用意しているのかと思っていた。

綾羽ちゃんは、残念がっている。

……前言撤回。



「やっぱ今日でいいよ」

「ほんと? やったぁ! はいっ」



綾羽ちゃんに手渡されたのは……茶色い動物のぬいぐるみキーホルダー?



「何これ、カピバラ?」

「えっとね、クオッカだよ。詩依(うい)と何かあげたいねって話してて」



詩依というのは、綾羽ちゃんが特に仲良くしている女の子だ。

修学旅行の時に『か~わいい~。乙女だ~』と言っていた、ほんわかとした雰囲気の持ち主。

すると、綾羽ちゃんは私の耳元に顔を寄せて、こう呟いた。



「らいとお揃いなんだよ」



らい―――檎人くんの愛称だ。

名字が鳳来だから、みんなにそう呼ばれている。

"お揃い"

その言葉を理解した瞬間、私はタックルをするかのような勢いで綾羽ちゃんに飛びついた。

じゃないと、バランスを保っていられなくて。

私は危うく倒れるところだった。