切恋memory

卒業前だから、週単位で席替えをするそうで、

檎人くんの隣にいられるのも今日が最後となってしまった。

一週間後に控えたバレンタイン。

彼女がいるのに渡してもいいのか、どうしても知りたい。

私だったら、付き合っているのに彼氏が他の女の子から受け取っていたら、

絶対に嫉妬してしまう。

刻々と迫る、時間。

私は自分に問う。

本当にいいの?

今訊かなかったら……。

絶対に、訊けない。

私は、なけなしの勇気を振り絞って尋ねてみた。



「……バレンタイン、渡してもいい?」

「誰に?」



即答。

気づいてないんだなぁと思いながら、「檎人くんに」って答えると―――。



「マジ⁉ くれんの!?」



すごく喜んでいた。



「まぁ、どっちでもいいよ」

「……ん、わかった」



その後、席は離れてしまったけど、

授業を頑張ることができた私だった。