切恋memory

班活動の時、君が「誰か鉛筆削り貸してくれない?」と訊いてきた。

実は、私は一昨日もそう尋ねられたが、残念ながらなくて。

好きな人には頼られたいから、持ってきてしまったのだ。



「あるよ!」



私はすかさず取り出す。

藍島(あいじま)くんも持っていたけれど、君は「アイ、ごめん。ありがとう」としっかり断り、私のを使ってくれた。





ある日。鉛筆削りを貸してあげていると、



「いつもすまんな。鉛筆削り持ってきたいんだけど、どっかいったんだよ」



って謝られた。

まさか、君のために持ってきたんだよ、とは言えなかった。