今日は、嵐のような一日だった。
橘樹くんの好きな人を、私は知っている。
「ねぇ、好きな人誰なの?」
「多分、あなたには絶対わからないと思うよ」
「えぇ~、教えてよ~!」
綾羽ちゃんと楽しそうに話す橘樹くんを、
微笑ましく見ていた。
……彼の気持ちが、痛いほどわかる。
きっと、この恋は平行線。
しかし、事態は急変する。
掃除終わり、
私、綾羽ちゃん、琳季ちゃん、茉柚ちゃんの
女子グループで恋バナを、
檎人くん、橘樹くん、森池くん、真くんの
男子グループで恋バナをしていた。
「告白しちゃえばいいのに~」
「しちゃいなよ!」
男子グループの会話に割って入った女子グループ。
女子たちが何度も、橘樹くんを推す。
すでに興奮している女子たちから庇うために
「黙れー!」とおどけて言う檎人くん、
机で項垂れている橘樹くん。
だいぶカオスだ。
そして、ついに告白の決意をした彼。
だけどやっぱり勇気が出ないのか、
まだ項垂れている。
「じゃあ、好きな人と目合わせればいいんじゃない?」
と、私。
「え、この中の誰かに好きな人がいるってこと? キャー‼」
橘樹くんの気持ちを全く知らない綾羽ちゃんは、
私に勢いよく抱きついてくる。
橘樹くんは、綾羽ちゃんを見つめた―――。
いわば、告白。
「え、私⁉」
「キャ~~~~‼」
ここで、興奮が最高潮に達し、
女子が綾羽ちゃんを取り囲んだ。
普段恋バナに興味がない人も、興味津々な様子。
「返事は、返事は⁉」
男子グループは、逃げてしまった
橘樹くんを追いかけている。
「どうしよう、どうすればいいの⁉」
パニック状態の綾羽ちゃんに、
恋愛小説を読みすぎている私にしかできない!
という謎の使命感から、
アドバイスをし続けた。
「でも、そんなに急かさなくても……」
そこへ、ちょうど先生が戻ってきた。
みんなは席に着き、社会の教科書を引っ張り出す。
気まずさから私と自分の机を入れ替えた橘樹くんと、
落ち着きのない綾羽ちゃんの間の席の私は、
二人をなだめるというおかしなことに。
それを見た檎人くんが、
「徠茜大変……」と突っ込む。
「……どういう状況? 誰か、説明!」
めざとく察した須藤(すとう)先生。
数人ピシッと手が上がり、
森池くんが指名された。
森池くんは、一部始終を話していく。
「おぉ」
教室はまた騒ぎ出す。
「ちょっとストップ! 他にも好きな人がいるかもしれないでしょ、恋っていうのはフクザツナノよ」
一言で静まる。
「で、で、席替えしましょ!」
二人の気持ちを汲み取った真くんが、
代弁してくれる。
「席替えしたいから言ってるんじゃなくて?」
「はい、はい!」
「よし、じゃあ席替えしよう」
しかし、席替えをしても二人の席は近いままなのだった―――。
一方で、檎人くんの近くになれた私。
でも、隣は女子。
また嫉妬をしてしまったのは、
言うまでもない。
へこんだまま迎えた放課後。
廊下に並んでいると、窓に飾られた
習字が目に入った。
"友情"
檎人くんに抱いているのは、
友情じゃないんだよなぁ……。
恋情、なんだよなぁ……。
私だって、告白したい。
周りの目を気にしていたけど、
もうそんなのどうでもいい。
檎人くんのことが、
本当本当に、大好きだから。
橘樹くんの好きな人を、私は知っている。
「ねぇ、好きな人誰なの?」
「多分、あなたには絶対わからないと思うよ」
「えぇ~、教えてよ~!」
綾羽ちゃんと楽しそうに話す橘樹くんを、
微笑ましく見ていた。
……彼の気持ちが、痛いほどわかる。
きっと、この恋は平行線。
しかし、事態は急変する。
掃除終わり、
私、綾羽ちゃん、琳季ちゃん、茉柚ちゃんの
女子グループで恋バナを、
檎人くん、橘樹くん、森池くん、真くんの
男子グループで恋バナをしていた。
「告白しちゃえばいいのに~」
「しちゃいなよ!」
男子グループの会話に割って入った女子グループ。
女子たちが何度も、橘樹くんを推す。
すでに興奮している女子たちから庇うために
「黙れー!」とおどけて言う檎人くん、
机で項垂れている橘樹くん。
だいぶカオスだ。
そして、ついに告白の決意をした彼。
だけどやっぱり勇気が出ないのか、
まだ項垂れている。
「じゃあ、好きな人と目合わせればいいんじゃない?」
と、私。
「え、この中の誰かに好きな人がいるってこと? キャー‼」
橘樹くんの気持ちを全く知らない綾羽ちゃんは、
私に勢いよく抱きついてくる。
橘樹くんは、綾羽ちゃんを見つめた―――。
いわば、告白。
「え、私⁉」
「キャ~~~~‼」
ここで、興奮が最高潮に達し、
女子が綾羽ちゃんを取り囲んだ。
普段恋バナに興味がない人も、興味津々な様子。
「返事は、返事は⁉」
男子グループは、逃げてしまった
橘樹くんを追いかけている。
「どうしよう、どうすればいいの⁉」
パニック状態の綾羽ちゃんに、
恋愛小説を読みすぎている私にしかできない!
という謎の使命感から、
アドバイスをし続けた。
「でも、そんなに急かさなくても……」
そこへ、ちょうど先生が戻ってきた。
みんなは席に着き、社会の教科書を引っ張り出す。
気まずさから私と自分の机を入れ替えた橘樹くんと、
落ち着きのない綾羽ちゃんの間の席の私は、
二人をなだめるというおかしなことに。
それを見た檎人くんが、
「徠茜大変……」と突っ込む。
「……どういう状況? 誰か、説明!」
めざとく察した須藤(すとう)先生。
数人ピシッと手が上がり、
森池くんが指名された。
森池くんは、一部始終を話していく。
「おぉ」
教室はまた騒ぎ出す。
「ちょっとストップ! 他にも好きな人がいるかもしれないでしょ、恋っていうのはフクザツナノよ」
一言で静まる。
「で、で、席替えしましょ!」
二人の気持ちを汲み取った真くんが、
代弁してくれる。
「席替えしたいから言ってるんじゃなくて?」
「はい、はい!」
「よし、じゃあ席替えしよう」
しかし、席替えをしても二人の席は近いままなのだった―――。
一方で、檎人くんの近くになれた私。
でも、隣は女子。
また嫉妬をしてしまったのは、
言うまでもない。
へこんだまま迎えた放課後。
廊下に並んでいると、窓に飾られた
習字が目に入った。
"友情"
檎人くんに抱いているのは、
友情じゃないんだよなぁ……。
恋情、なんだよなぁ……。
私だって、告白したい。
周りの目を気にしていたけど、
もうそんなのどうでもいい。
檎人くんのことが、
本当本当に、大好きだから。


