私の隣の席にいる橘樹(たちばな)くんは

面白い。



「ねぇ、何で私のことを徠茜"さん"って呼ぶの?」

「え? 徠茜さんは、徠茜さんだよ」

「じゃあ、私のこと"れあちゃん"って呼んでよ」

「……っ、うわぁ……」



ちゃん付けをすることを極端に嫌がる。

渋々言わせてみると―――。



「……れあ、ちゃん」



それはそれは面白い反応だった。



「ちゃん付けとか無理だろ! なぁ、鳳来?」

「れあちゃんって呼んでみてよ!」



友達の綾羽(あやは)ちゃんが、そう催促する。



「菖に殺されるから、ちょっと……」



だから、君は提案を拒んだ。

……彼女のこと、大事にしてるんだね。





「なぁ、菖さんって可愛い?」



給食中、橘樹くんが君に尋ねた。



「うん」



何の淀みもなく、言い切った檎人くん。

……彼女のこと、本当に好きなんだね。





……私のほうが、菖ちゃんよりも好きな自信あるのに。