切恋memory

昼休み、

オーディションの結果が

発表された。

ピアノに抜擢されたのは、同じクラスの

琳季(たまき)ちゃん。





初めて本気で打ち込んで、

だから余計に悲しくて、

雫が溢れ、頬を伝った。





授業中、

総合の班が一緒になった檎人くんに、

「オーディション落ちた」と

こっそり報告した。

すると、君は黙り込んでしまった。



「慰めようと思ったんだけど、何て声掛けたらいいかわからない」



担任の先生が、クラスの全員に



「挑戦したことに意味があるってよく言うけど、オーディション受けた人にとっては 挑戦もクソもないだろ?」



と話した後だったから、

困らせてしまったのかもしれない。

でも、君は

静かに言葉を紡いだ。



「またオーディション受けた時は、合格できるといいね」

「……うん。久しぶりに泣いた」



君は、切なそうに笑った。





君が、私の傷ついた心を

優しく包み込んでくれたなんて、

知らないだろうな。





君は、私の知らない未来を見据えていた。