(おばあちゃんも、ここで働いていたんだ……)
私はぼんやりとそんなことを思いながら、もう一度だけ神室玲の説得を試みた。
「あの、もう一度だけ言いますけど──」
「──家に帰りたいという話なら、もう聞き飽きた。ウメにも約束したんだから、君のことは俺が面倒をみる」
神室玲はそう言い切ると、この話は終わりだとばかりに話を変えた。
「俺の両親は海外で働いていて、ここにはめったに帰ってこないから遠慮はいらない。……2階に君の部屋を用意させよう。必要な物があれば何でも言ってくれ、調達させるから」
「……では教科書とか服とか予備の制服を取りに、一度自宅へ帰りたいんですが……」
「ダメだ」
神室玲があっさりと断った。
