「ん?何で謝んの?」
「だって──っ!…」
そこまで言って黙ってしまう彩。
……きっと、傷を見て気が引いてしまったんだろう。
「──俺のは気にすんなって。
それよりさ、何より彩が無事で良かった」
──本当に…
本当に守れて良かった。
俺が傷つくのと彩が傷つくのじゃ、天秤にもかからないくらい君の方が大切だから。
これは紛れもない本心。
彩はうつむいて、静かに涙を零していた。
「…………」
込み上げる悲しみを一生懸命に堪えているその表情。
その震えが、片手に持っているコンビニ袋に伝わって微かに揺れている。
その姿は、まるで傷ついて震えている子犬みたいで。
───ポンポン。
俺はたまらず、彩の頭に手を置いていた。
「泣くなって。
俺助けた意味ないやん。」
そう言いながら……
そんな涙を流す君の姿にさえ、愛しさを感じて。
零れ落ちる涙を何度も何度も拭う彩を──…
──強く、抱き締めてしまいたい衝動に駆られた。



