とりあえず、ここから逃げらんと──…!
怒りが収まっていない男を見て、とっさに思考を切り換える。
車──…
ダメだ。
乗っている間に追い付かれたりでもしたら─…!
「───…ごめ……
彩のせいだ…」
「いけるから。
彩、ちょっと走るで。」
「………え……?」
───パシッ!
迷わずに彩の手を取る。
「走れ!!!」
そう大声で叫んで。
全速力で走りながらも、
時々後ろを振り返って様子を伺った。
彩は何とか俺の手を離さず、戸惑いながら一生懸命走っている。
そんな彩を見て、ますますこの手を離すまいと握る力が強くなった。
はぁはぁと息をつく彩の手を離さず、公園へと辿り着く。
「…ここまで逃げたら、
もう追ってけーへんやろ」
そう言って笑顔で後ろを振り返ると……
「…………ごめん……」
そう小さく声に出し、
彩は再び顔をぐちゃぐちゃにして泣き出してしまった。



