大学近くにある駐車場。
春の代表格、桜並木がずらっと立ち並ぶ。
俺は車を駐車してドアを開けた。
「──…あれ?
うちの殿方はまだお着きじゃないん?」
「殿方とか!
あいつは暴走族だよ!!」
「──…壱、あいつがそれ聞いたらぶん殴りに来るぞ。」
「──…だぁってぇ…」
吾郎がそう言って、
まだ何か言いたそうな壱をたしなめた。
俺はそれを聞いて思わず吹き出してしまう。
──…『殿方』、
『侍』、『暴走族』。
色んなあだ名で呼ばれる、暴君。
その暴君──…
いや、もう一人のメンバーのお越しを待つ。
────ヴォォン…!
聞き慣れた、殿のバイク音。
「…来た来た。」
「殿のお越しやぞー。」
「うはー。
俺吐き気するー。」
────キキィッ。
舞い散る桜吹雪の中─…
そいつはバイクを止めてヘルメットを外した。



