──うっすらと、夜の闇が空を覆う。
彩がいなかった部活は、とんでもなく長かった。
……気がする。
「今日はありがとうございました、朝岡さん。」
練習を終え、片付けを手伝っていた俺にぶんがペコリと頭を下げる。
「あぁ、えぇよ♪
また来るわ。」
──…ん…?
にこっと笑うぶんの少し後ろに、女の子が立っているのが見えた。
あれは──…
「……っと、彼女待たせてるんか?
はよ行ったりや。」
「──あぁ、はい。」
よく見かけるぶんの彼女は、下足室の壁にもたれながら暇そうにケータイをいじっている。
……確か、付き合い始めてもう一年くらいやっけ?
「仲良う続いてるみたいやん♪」
冷やかしを入れると、ぶんは照れながらはにかんだ。
「…まぁそうですね。」
「ご馳走さん。
早よ行ったり♪」
「はい。
また朝岡さんもチカさんと一緒に来て下さいね♪
お疲れ様です。」
「──…あ、あぁ…」
ぶんはそう笑って彼女の元へと駆け寄った。
見送る手が、微かに止まる。
「───………」
二人肩を並べて歩く恋人の姿を見て、何だか複雑に胸が軋んだ。
チカ……
俺も高校の時あんな風に歩いていたはずだった。
……ほんの少しの間だったけど。
もう──…
いつからだろう。
二人の歩幅がズレてしまったのは──…



