しばらく見つめる事、数十秒。
「──…あ。来た来た。」
バックミラーに動く物体が映った。
「──壱や。」
物凄いスピードでこちらに向かってくるチャリンコ。
俺は窓を開けて思いっきり叫んだ。
「壱!!おっそいねん!
もう置いて行くぞ!!」
「いやだぁぁぁ!
待ってよー!!純の鬼ー!」
遠くから、ピーピー絶叫するバカを見て吾郎と笑った。
キッと素早く自転車を止め、そいつはハァハァ息を吐きながらエスティマのドアを開けた。
「はぁっ…疲れたー…」
けれど疲れた様子もすぐに屈託ない笑顔に変わる。
──本城 壱。
一言で言うと、チビでバカ。
良く言うと、無邪気。
金髪に近い髪色に、
厳ついロックスタイル。
ジャラジャラ付いてるチェーンやピアスの数がハンパない。
一見不良に見えるけど、
実は全くの逆で。
その天然の明るさと無邪気さ、加えてベビーフェイスな顔立ちが憎めない存在だ。
俺より年下の18歳。



