ぶんは不意を突かれたように振り向いた。
「───これ!
彩に渡しといて!!!!」
────シュッ!
窓から力一杯ぶんに向けて手を振る。
──…彩に、届くように。
窓から受け取ったぶんは、動揺したように俺を見た。
「…朝岡さん?!?!
これ───…」
「お前からって渡しといて!」
「──…でも…」
「えぇって!
お前が選んだって事にしといて!」
そう叫んで俺は笑った。
──…俺がぶんに渡したのは、彩に似合うだろうと思って秘密で買った物だった。
つい先日。
バイト帰りにふと店通りで目に入った十字架のピアス。
シルバーに輝くピアスを見て、彩に似合うと思って買った。
何にしろ、あんなに電話が繋がらないなんて何か理由があるに違いないと思ったから。
一人で落ち込んでいる彩を想像したら、いてもたってもいられなかった。
だからといってこれをあげて君が喜ぶとは限らないけれど。
でも───…
ほんの一瞬でも笑ってくれたら。
──…そう……
願って。



