──…やがて彩の家が見えてきて、俺は一つ深い深呼吸をした。
……さすがに緊張するな……。
君に、面と向かって会うなんていつぶりだろうか?
───…夏、以来だっけ?
「………はや……」
もうそんなに季節は巡ってしまったのかと、目眩を起こしそうになる。
……だったら尚更君に会いたいと、強く思った。
「───…よしっ。」
───ピンポーン。
気合いを入れて彩の家のインターホンを鳴らした。
……するとすぐに、
────ガチャッ。
「────はぁいっ♪
あらっ!?!?まぁっ……!
あなたは前にも……」
「……おはようございます。今日は朝早くに申し訳ありません。」
俺は、彩と瓜二つな母親に向かってにっこり笑いかけた。
「──そんな事ないですよ!!わざわざありがとうございます。
彩ってば、まだ寝てるんじゃないかしら……
────彩ー♪
お客さんよー!」
彩の母親は何故か顔を真っ赤にして、パタパタと急いで階段を上がってしまった。
───…って、また名前言う前にどっか行ってもうたし!!!
───そんな俺の耳に
「はぁい?」
──────……っ!!
俺の愛しき人が、ひょっこりと姿を見せた。
────…ドキッ…
心臓が、途端に愛しさの音を奏でる。
切なさの余り、俺は何だか泣きそうな感情に駆られる。
───…ねぇそんな風に。
俺を驚いた顔で見つめないでくれよ。
涙が零れてしまうだろ?
「彩、おはよう。」
「──朝岡さんっ…!」
そう呼んでくれる彩の声が、俺の胸に広がっていく。
「──…寝起きやろ?」
「…ちっちが……!」
真っ赤になる彩に、俺はついからかって笑ってしまう。
───…そして、
「──おいで、外行こう。」
そう言って、彩に手を差し出した。
……春の息吹きが満ち溢れる世界へと。



